今年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 マッシ―ようやく渡米
今回は『1965年5月17日号』。定価は50円だ。
以前、書いた巨人・
金田正一脅迫事件だが、まだ解決していなかったようだ。
この事件の発端は、金田がキャンプ中だった2月4日、自宅に息子・賢一君を誘拐されたくなければ100万円寄越せ、という脅迫状が届いたことだ。
どうやらいたずらだったらしいで終わらせたが、いたずらはいたずらでも、かなりたちの悪いいたずらだったようだ。
脅迫状はその後、2月7日、13日、23日、3月3日、9日、10日、15日、21日、23日、30日、4月2日、12日、16日、25日にも金田の家に届く。
同一人物か、報道で騒ぎを知った愉快犯、便乗犯かはわからないが、かなり執拗だ。
さらに4月23日には、神宮で試合前練習中だった金田に「家族に関する緊急の用件」と呼び出す電話が球場に入った。
相手は、加藤カズエと美空ひばりの本名を名乗っていた女性らしいが、金田が出ると相手は男に代わり、「100万円をよこせ、カネを持ってこなければ子どもを殺す」と言ってきた。
さすが金田。ここで電話で話しながらも、手振りで球場係員に警察に通報させ、
「百万、冗談いうたらあかん。いまそんな大金持っとるわけないやないか。10万くらいならあるな。カネに困っているなら相談に乗ってもいいぜ。どこかで会おうやないか」
とあれこれ言いながら警察が到着するまで電話を長引かせ、自らが犯人と会う約束までした。
しかしながら、待ち合わせの場所で見つけたあやしげな男は、結局、事件とは関係ないことがわかり、真犯人らしき男の姿もなかったという。
南海とサンフランシスコ・ジャイアンツの間でもめていた
村上雅則の契約問題がついに解決した。
ジャイアンツ側から66年以降は南海に戻ることを認めた上で渡米を求める回答が届き、村上は5月4日に渡米が決まった。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM