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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

中日ドラ1・根尾昂は“対応力”を持っているか

 

投打に遊撃と“多刀流”で甲子園春夏連覇。類まれな身体能力を誇る根尾は、プロの世界に順応できるのか


 凛々しい眉毛を寄せ、視線を上に向けて一つひとつの質問の意味を真剣に考える。そして自分の答えを説明していく。ドラフト2週間前の10月上旬。「足りないことだらけ」と技術不足を前提にしながら、大阪桐蔭高・根尾昂はプロ入りへ向けた自らの考えを口にしていた。

 プロでも貫きたい信念は何か――。そう問うと、根尾は少し考えた後で答えた。

「いろんなことに対応していくことです」
 
 未知の世界のプロ野球。そのレベルの中で、自分に足りないもの、必要なものを見つけ、そして補っていくことを“対応”と表現した。

「プロの一軍に交じったときに、対応できるかと言えば、そんな技術はありません。そのために必要なことは、そのレベルに入ったからこそ見えてくる。プロは厳しい世界だし、毎年、相手の攻め方だって変わってくるはず。そこに対応していけるようになりたい。そのために自分を変化させていきながら、自分自身にも対応していきたいんです」

“対応”を強調するのにはワケがある。高校球界でトップを走り続けてきたが、プロで通用しない可能性も承知のうえ。だから、プロに対する質問も確たる答えが今はない。

「例えば不振になって、打撃フォームが崩れても、自分の形があれば、そこに戻ることはできます。でも、今は自分の形はまだないし、技術も足りないところばかり。『これ』というものもありません。仮にプロ1年目から、たまたま活躍できたとしても、裏付けがないと自信にはならない。自信がないと、自分の形は見つからないし、固まらない。こうしたから、こうなるというのは、技術があってこそだと思うんです。だから、まずはプロのレベルを早く肌で感じて、自分に何が足りないのかを知りたいんです」

 そんな話をしてから2週間後のドラフト会議で、4球団1位競合の末に中日に入団。12月8日には入団会見も済ませ、プロのスタートラインには立った。だが、本当の始まりは、これからだ。

「プロに入ることではなく活躍することが目標ですし、一時的な活躍では終わりたくない。長く活躍したいと思っています」

 プロの世界で何を感じ、何を得ていくのか。オープン戦か、もしくは開幕後か。いずれにしても、必ず訪れるであろう“結果が出ない時期”に根尾は、どんな“対応”を見せるのか。飛躍のカギである“対応力”に注目したい。

文=鶴田成秀 写真=BBM
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