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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

若返りの象徴へ。オリックス・山岡泰輔はエースになれるか

 

キャンプでは周りに左右されずに独自の調整を行うなど、思考と行動はエースの資質十分だ


 理路整然と独自の理論を口にする様は、金子千尋(来季より弌大)が放つ雰囲気と似ているところがある。思考も金子と共通するところがあり、中でも理想像を「打てそうで打てない投手」に挙げる点だ。

 2017年ドラフト1位で東京ガスからオリックスに入団。ルーキーイヤーから開幕先発ローテ入りを果たし、8勝(11敗)をマークするも、プロ初勝利は登板6試合目の5月末だった。そんな山岡泰輔が、痛感したのは「プロは結果の世界」ということ。

「勝てば評価されるし、1失点で好投して負けても『惜しかったね』とは言われない。そういう世界だと実感しました」

 だからと言って悩み、もがいたかといえば、そうではない。

「野球をしてきてカベに当たったことはないんです。『あの挫折があって、それを乗り越えたから今の自分がいる』という話をされる方もいます。確かに何かを乗り越えたときは、強くなれるかもしれない。でも、僕はこれを乗り越えたと言えるものがなくてもいいんです。だってカベに当たらないように練習しているんですから」

 タテのカットボールを習得し、迎えた2年目の今季。だが、またも4月末から3カ月間、12試合で勝ちに恵まれず。すると8月には一時、中継ぎに配置転換されたが、その経験もプラスにとらえている。「継ぎをしたことで、準備のタイミングなど、ブルペンで控える投手の大変さが分かった。だから、なるべくイニングを多く投げたい」と自覚も芽生えた。

 先発復帰を果たした8月15日以降は、7試合で5勝。9月15日の日本ハム戦(札幌ドーム)では完封勝利もマークした。

 とはいえ、当然プロ2年間の成績に満足はしていない。「2年分の借金を返したい」と、悔いているのはプロ通算15勝23敗の負け越しだ。

「先発が1人でも多く2ケタ勝利を挙げて貯金をつくれば、優勝に近づく。その1人になりたい」

 カベに当たらぬため、鍛錬を重ねて挑む3年目――。若返りを図るチームの中で23歳の新エース誕生となれば、チームにとって大きな光になる。自身を「普通の投手」と表現する背番号13が、オリックスの顔となれるか。今オフに金子弌大、西勇輝の先発2枚看板が抜けて迎える2019年。秋季キャンプでは投手リーダーを任されるなど、身長172センチの小柄な右腕にかかる期待は大きい。

文=鶴田成秀 写真=BBM
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