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川口和久WEBコラム

サンオイルは球場でも強い味方?/川口和久WEBコラム

 

メジャー入りは15歳からの夢だったという


 西武菊池雄星のマリナーズ入りが決まった。少年時代からの夢がかなってよかったと思う。
 マリナーズは、今年日本で開幕戦をするから、デビュー戦が東京ドームというのもあるかもしれないし、エンゼルス戦での花巻東高の後輩・大谷翔平との対決の可能性もある。
 メジャーファンにはたまらないシーズンになりそうだね。

 大谷と菊池。投手としては左右の違いがあるが、ともに快速球が武器。ほぼ同時期に2人のメジャー・リーガーを出したのだから、アメリカでは「HANAMAKIってどこ?」と盛り上がっているかもしれないね(2人とも生まれは違う市みたいだけど)。
 そういえば近年、菊池と同学年の山川穂高をはじめ、プロ野球選手が輩出する富士大も花巻にある。野球の神様をまつった神社でもあるのかな……。というか、岩手県の花巻でなぜ富士大なんだろう。
 失礼、脱線した。

 菊池は大谷に比べ“努力型”の印象がある。
 大谷が努力しないというわけではないし、菊池が天才ではない、というわけではない。
 ただ、一気に飛び越えていく大谷と、積み上げていく菊池に映る。

 あの英語の会見がそうだったよね。間違いなく、この日を目指して英語の勉強を積み上げていたはず。このオフのポスティングも、もしかしたら野球じゃなく、英語力に納得いったからかもしれないね。そのくらい堂々としていた。

 彼は西武に入ったときから、野球選手には珍しく(?)、読書が好きで、ピッチングやトレーニングについてもいろいろ考えていたらしい。ただ、当時の俺の印象は、言い方は悪いが、頭でっかち。理論に体がついていっていなかった。もっとシンプルに考えたほうがいいんじゃないかな、と思って見ていたこともある。
 
 ただ、根が頑固なんだろうね。成績的には足踏み状態となり、日本ハム入りした後輩の大谷に抜き去られた形になりながらも、妥協せず、時間をかけて試行錯誤をしながら頭と体を近づけていった。
 それがついに合致したのが2年前の2017年だった気がする。
 27歳か。もう少し日本で見たい気もするが、いいタイミングかもしれないね。
 素直に祝福します。

 ただ、次の注目は、メジャーで何試合、もつか。
 通用するかどうかじゃないよ。コンディションをキープできれば、菊池がメジャーでいきなり2ケタ勝っても別に不思議じゃない。
 問題はヒジ、肩さ。
 突然、毒舌コラムみたいになってしまったが、実際、ダルビッシュ有田中将大、大谷と、近年メジャーに移籍した先発投手は、すさまじい確率で故障している。無事なのは前田健太くらいじゃないかな。

 日本で投げ過ぎたから、みたいな記事もあったけど、それは違うでしょ。問題は間違いなく、メジャーに移ってからにあると思うよ。
 よく言われるのは、乾いてツルツル滑るボールと堅いマウンド。マウンドに関しては下半身を粘り強く使いづらく、どうしても上体に無理がかかる。滑るボールはフィーリングが違うから、知らず知らずに負荷がかかる、ということだね。

 ただ、滑る球については秘策がある。
 誰からとは言わないが、俺が「一番いい」と聞いたのは、サンオイルだ。日焼け止めね。

 腕にベタベタに塗っておいて、時々、指をなじませる。厳密には反則投球になるけど、外国人選手も含め、なんらかの対策をしている選手は多いらしいよ。
 サンオイルは夏の海辺だけじゃなく、球場でもあなたの味方ということだね。

 そういえば、これが2019年初のWEBコラム。みなさん、あけましておめでとうございます。今年も『週べ』の誌上コラムともどもよろしくお願いします。
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