過去にも大洋、横浜時代の復刻ユニフォームをまとってきたが、今年は70周年企画として創設期のスタイルでプレーする
横浜DeNAベイスターズの前身である大洋ホエールズは1949年11月22日に山口県下関市で誕生した。昨年、70周年を迎えた球団は2019年を「70th ANNIVERSARY PROJECT」と題して、シーズンを通じてあらゆる企画を仕掛ける。
第一弾として、3月10日のオープン戦(対
広島)を球団創設の地である下関市のオーヴィジョンスタジアム下関で開催、当時の選手が着用していた大洋ホエールズ復刻ユニフォームで試合に臨むことが発表されている。
球団創設から現在までを一括りにするのがこの試みの肝である。78年の横浜移転前からのファンも蔑にすることなく、下関、川崎という地域に対して敬意を払う。今年、同じように「50周年」を掲げるスワローズは、
ヤクルトが経営権を握った69年を起点にイベントを展開予定で、両球団のスタンスの違いが面白い。
これらの“周年イベント”が現在のファンにはどう伝わるのか。DeNAに関していえば、横浜スタジアムを訪れるファンの客層は、ここ数年で明らかに変わった。スタンドを埋めるファンは若く、女性の姿も目立つようになった。98年V戦士の1人、
野村弘樹さんは「僕らのころは不甲斐ない投球をすれば、きついヤジもあった。今はそうした雰囲気ではないよね。どちらがいいか悪いかじゃなくてさ。ファンの熱量、質が変わってきたんだと思う」と感想をもらす。
そうした新しいファンの興味を惹くためにも、復刻ユニフォームをまとってプレーするのはシンプルで分かりやすくていい。昨秋のファンフェスティバルで
筒香嘉智、
山崎康晃、
東克樹が着てアピールしたことで関心も高まったと思う。
球団関係者によれば、これ以外にも70周年をテーマにした企画ユニフォームを登場させるという。個人的には、みかんとお茶をイメージした川崎時代のユニフォームをぜひ復刻してほしいのだが……。まずは3月のオープン戦を楽しみに待ちたい。
文=滝川和臣 写真=YDB