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金足農高と同じ空気感が漂う21世紀枠・石岡一高をけん引するプロ注目右腕

 

センバツに出場する石岡一高(茨城)のエース・岩本は八郷中時代に選抜された茨城オール県南(写真)で全国4強の実績がある


「センバツ21世紀枠」とは夢と希望、そして可能性をもたせてくれる意義のある特別枠だ。

 石岡一高(茨城)は昨秋、県大会4強。実力であれば、甲子園の土を踏むことはできなかったが、この21世紀枠に拾われる形となった。

 普通科のほか、園芸科、造園科がある同校は実習が多い。つまり、練習時間に制約がある中で、部活動にも力を入れてきた。選出理由として、農業を通じて「新しい形の文武両道を示す可能性がある」という点が評価された。1月25日の選抜選考委員会で、石岡一高は春夏を通じて、初の甲子園出場を決めている。

 高校野球の「農業系」と言えば昨夏、甲子園準優勝を遂げた金足農高(秋田)の記憶が新しいところだ。原動力となったエース・吉田輝星(現日本ハム)に強いあこがれを抱いているのが、石岡一高をけん引する147キロ右腕・岩本大地である。

 公立校の星――。実は、岩本は今春のセンバツが初めての全国舞台ではない。中学時代に全国4強の実績がある。石岡市立八郷中3年時に「茨城オール県南」に選抜。第33回全日本少年軟式野球大会(横浜スタジアム)では準決勝進出の立役者となった。決勝をかけた準決勝では星稜中に惜敗も、同大会で計3試合、17回1/3で22奪三振。当時から130キロ超を投げ込むストレートに、打者のタイミングを外すチェンジアップを巧みに投げていた。投球フォームを見ても、バランスが良く、完成度の高さを感じたものだ。

 ピンチにも動じないマウンド度胸だけでなく、気配りのできる投手だった。試合中、味方が失策を犯しても、決して下を向かず、言葉をかけることを忘れなかったという。野球は一人ではできない。いつも感謝の念を胸に、投げていたのである。

 石岡一高を率いる川井政平監督は八郷中の先輩。岩本は私学からの誘いもあったというが、熱血指揮官を慕って、地元の同校へ進学した背景がある。

 昨夏の金足農高はエース・吉田を周囲がもり立てる姿が印象的であったが、石岡一高にも同じ空気感が漂っているという。それは、なぜか――。マウンドの岩本は仲間を大事にして、献身的に投げるからである。石岡市出身であり、応援される要素はそろっている。

 昨秋の石岡一高は昨春のセンバツ出場校・明秀日立高との3回戦を制し、昨夏の代表校・土浦日大高も準々決勝で撃破し、地力十分。「夢舞台」だけでは終わらない。プロ注目右腕・岩本は21世紀枠で得た甲子園出場のチャンスを、チームの勝利のため、しっかり自身のアピールの場にもしていくつもりだ。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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