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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

順調に調整を進める吉田輝星に一つの心配事

 

日本ハムのドラフト1位・吉田。二軍(沖縄)で初めてのキャンプを過ごしている


 大きな期待の裏返しだからこそ、一つの心配事がある。

 日本ハム・吉田輝星の順調な調整ぶりだ。昨年の入団発表前後、高校時代から吉田をよく知る関係者が、体型を見て「大丈夫か?」と目を疑ったという。明らかなウエートオーバーに見えたのだ。

 ただ、そこには致し方ない事情もある。関係者は明かす。

「金足(秋田)は雪が多いですから、なかなか走り込みができない」

 1、2年の冬は、そんな環境もお構いなしに屋外でランニングをこなしていた。あの冬の鍛練が、昨夏の甲子園準優勝という快投を生んだのは、言うまでもない。

 しかし、引退後は自己責任。つまり、そこまでの強制力はなく、自身でメニューをコントロールできる。練習熱心な吉田とはいえ、まだ高校生。ある部員が長靴を履いての雪上でのランニングを「あれは地獄……。思い出したくもない」と、真夏の甲子園で語っていたのを思い出す。1年前と同じ負荷をかけるのは、現実的に難しかったと思われる。

 とはいえ、吉田は新人合同自主トレを経て、2月1日に沖縄でキャンプイン(二軍)。ブルペンではキレの良いボールを投げ込み、評論家など評価は高まるばかり。だからこそ、チーム関係者は目を凝らさないといけない。制止する勇気も必要だ。それは、なぜか。言うまでもなく、吉田にとってこの時期、温暖な沖縄で調整するのは初めての経験。極寒の生まれ故郷・秋田と比べれば、想像以上に体が動くことだろう。報道陣、ファンなど、人から見られるブルペン。自然と力が入ってしまうのも当然だ。

 2月中旬には一、二軍合同の紅白戦が予定されているが、ここに照準を合わせる必要はないと思う。何しろ、故障だけが怖い。昨夏の甲子園後は蓄積疲労を抱え、侍ジャパンU-18代表では大事を取って「スロー調整」という過去もある。まずは、元気な姿での「顔見せ」だけでいい。吉田のプロ野球人生は始まったばかり。杞憂に終わることを願っている。

文=岡本朋祐 写真=毛受亮介
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