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DeNA・筒香が目指す未知の領域 バリー・ボンズと重なる理由とは?

 

あらゆる面で年々進化している筒香嘉智


「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回はDeNA・筒香嘉智選手についてお話しさせて頂きます。

 私はDeNAのファームチーフトレーナー(S&Cトレーニング担当)で2015年〜16年の間、在籍していました。筒香選手は向上心旺盛な性格ですが、技術面においても精神面においても本当にすごい選手に成長したと感心するばかりです。当時、筒香選手はウエートトレーニングを介して身体の軸の意識、使い方のアプローチをしていましたが、今はしていないと聞いています。「筋肉をつける」「体を鍛える」という概念から、より深く、シンプルな「体の軸をどう使ってどの部位をどう使うか」という考えにシフトしたのだと思います。

 技術、メンタル、フィジカルに加え、進化する過程で重視するようになったのが体の操作性だと思います。構えたときに体の軸がどこにあって、右足に体重を乗せてインパクトするまで一連の動作でそのベクトルがどこに向くのか。端的に言うと、ボールが来たら軸回転でバットを出すことを追い求めているのですが、それを究極まで深く深く突き詰めているように感じます。

 筒香選手のインタビューを聞くと、打席に入る自分を別の角度から俯瞰して見ている印象を受けます。右半身、左半身、体の前後と3Dで自分の体を細分化して見ているような感覚と言ったら分かりやすいでしょうか。「自分の目指す打撃を説明するのが難しい」という言葉をよく使いますが、これは言語化するのが難しい感覚の世界だからだと思います。

 個人的にその姿が重なるのがメジャー歴代1位の通算762本塁打をマークした元ジャイアンツのバリー・ボンズです。ボンズはカラーバットを扱っているかのように軽くスイングしていとも簡単に球をとらえ、ピンポン玉のようにスタンドに運びます。パワー、スイングスピードもさることながら、バットを扱う体の操作性がほかの選手と別次元のように感じます。

 筒香選手はボンズと比較するとまだ成長過程にあると思いますが、目指す打撃の方向性は似ているように感じます。これからどのように進化していくか、彼が突き詰めている野球道に目が離せませんね。

文=インプレッション・平尾類 写真=BBM
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