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週刊ベースボール60周年記念企画

巨人・牧野茂コーチの策略/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

巨人・王貞治が250号到達


表紙は南海・野村克也


 今回は『1966年9月5日号』。定価は60円だ。

 巨人牧野茂ヘッドコーチのしたたかというか、少し陰険な戦略が前回触れた阪神お家騒動の火に油を注いだという話があった。

 8月10日の巨人─阪神戦(後楽園)だった。阪神の左腕・権藤正利が投げていたのだが、5回裏二死満塁で三塁の牧野コーチが三走の黒江透修に本盗のサイン。これは本塁でタッチアウトとなったものの、すぐ牧野コーチが「ボークだ」と猛抗議し、判定が覆った。
 これのどこが陰険かと言われそうだが、牧野コーチはもともと権藤の二段モーション気味のフォームにボークの疑いを持っていた。このときもホームスチールすることで、そのクセがはっきり出るはずと思い、失敗覚悟で走らせた、というのだ。
 昔の人はいろいろ考える。

 ただ、どちらとも取れる動作だったこともあり、阪神ベンチは大激怒。しかし杉下茂監督は抗議には出たものの審判の説明を少し聞いただけで引き揚げ、怒り心頭となっている選手たちに何も説明しなかったらしい。
 これに捕手の辻佳紀らが今度は怒りの矛先を杉下監督に向ける。
 辻は試合後、記者たちに向かってほえまくる。
「かつての名投手か何だか知らんが、ボーク問題は微妙なんだ。自分一人が説明を聞いてあっさり納得しても、われわれの気持ちは収まらんよ。
 責任者はケンカするつもりでやってもらわんと。それがなんだい。ああ簡単に引き下がって。ファイトファイトと言って、一番ファイトがないのは誰だい」
 休養も分かる。

 大記録が続く。
 8月10日には阪急の米田哲也が通算200勝達成。
「プロ入り11年目のやっとできただけに本当にうれしい。ここまで来れたのはカジさん(梶本隆夫)という大きな目標があったから。入団当時、カジさんとは同室でお互いに励まし合いながら勝ち星の内容を検討したものだ」

 ヨネカジとも言われた先輩左腕・梶本のことである。

 8月19日の大洋戦(川崎)では巨人の王貞治が通算250本塁打をマーク。史上4人目の達成だが、994試合目は他を圧倒するハイペース。荒川博監督は「王は600号は打てるだろう」と言っていたが、まだ7年目。可能性はある。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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