プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1994年6月29日だ。
この年、すい星のごとく現れ、開幕から安打を量産していたイチロー。開幕から60試合目、6月25日の
日本ハム戦(東京ドーム)で、100安打に到達した。1964年の
広瀬叔功(南海)の61試合を更新する100安打のスピード記録となったが、翌26日の同カードで1、2打席に連続安打して4打席目まで打率4割台をキープ。しかし、5打席目に凡退して.398にダウンしていた。
28日の近鉄戦(日生)では3打数1安打で.398と打率は変わらなかったが、29日の同カードで大爆発。1打席目から右前打、中前打、四球、中前打、四球、6打席目はバント安打を一塁前に決め、4打数4安打で開幕から63試合目で打率を.407とした。
60試合を過ぎての打率4割台は
96試合=
クロマティ(
巨人)89年
89試合=広瀬叔功(南海)64年
73試合=
藤村富美男(
阪神)50年
69試合=バース(阪神)86年
に次いで史上5人目の快挙だった。夢の4割台の挑戦が現実味を帯びたが、イチローは「一度記録できて良かったです」とクールに喜びを表した。
写真=BBM