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夏敗退もセンバツV腕・石川昂弥の“高校野球”は終わらない

 

東邦高・石川昂弥は高校通算54本塁打。NPBスカウトは「大型三塁手」として期待しており、木製バットを使用する高校日本代表に選出されれば、大きな戦力となるはず。また、チームリーダーとしての資質も備わる


 甲子園を目指す高校野球は終わった。しかし、石川昂弥の高校野球はまだ、終わっていない。

 平成最後の春のセンバツを制した東邦高(愛知)は県大会2回戦で姿を消している。7月13日。地方大会序盤の敗退に、衝撃が走った。負ければ終わりの夏。ミスが許されない、一発勝負の難しさをあらためて感じたものである。

 石川はセンバツ5試合で5勝を挙げ、30年ぶりの優勝投手となったが、もともとは野手。チーム事情によりマウンドに上がったが、センバツでも3本塁打と、右打者としても大きな可能性を秘めている。

 NPBスカウトも将来的には「大型三塁手」として期待しており、熱視線を送る。

 不完全燃焼に終わった最後の夏となったが、まだ、戦いは終わっていない。石川は今年4月、侍ジャパン高校日本代表第一次候補に選出。その高いポテンシャルから、メンバー入りが有力視されている。

 投手陣は大船渡・佐々木朗希、星稜高・奥川恭伸、横浜高・及川雅貴、創志学園・西純矢の「BIG4」ら充実の候補選手が控える。一方、野手の顔ぶれを見ていくと、右の大砲・石川を中心とした攻撃を組むことが最も現実的と言える。今年9月、高校日本代表が出場するU-18W杯(韓国・機張)の使用バットは木製。NPBスカウトによれば、石川のスイングは金属から木製へ持ち替えても問題なし、と太鼓判が押されている。

 夏の甲子園決勝は8月21日を予定している。そのタイミングで高校日本代表メンバーが発表され、直後にチームが結成される。毎年、夏の甲子園に出場した選手を中心に編成されるが、直前まで金属バットを使用しており、木製への対応に苦労する光景を何度も見てきた。大阪桐蔭高で春夏連覇を遂げた根尾昂(現中日)、藤原恭大(現ロッテ)のほか、報徳学園高・小園海斗(現広島)も例外ではなかった。

 そこで、石川である。木製バットに順応する準備期間は十分。卒業後の希望進路は「プロ」と表明しており、もう金属バットは不要だ。頭を切り替え、世界一を目指し“その日”に備えて練習を積んでほしい。

 東邦高では主将を務めた。4月上旬、高校日本代表候補として参加した国際大会対策研修合宿(写真)でも選手たちと積極的にコミュニケーションを取る姿が見られ、チームリーダーとしての資質も十分。あくまで想像だが1カ月後、侍ジャパン高校日本代表の中心メンバーとして躍動する姿が目に浮かんでくる。石川の高校野球はまだ、終わっていない。

文=岡本朋祐 写真=石井愛子
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