週刊ベースボールONLINE

MLB最新事情

【MLB】混戦のナ・リーグのペナントレース、トレードデッドラインへの影響は?

 

ドジャースから今季、宿敵ジャイアンツの編成本部長になったザイディ。まさかの好成績に今回1度しかないトレード期限をどう有効に使うだろうか!?


 ナ・リーグのペナントレースが混戦になっている。東地区5位のマーリンズ以外はすべてプレーオフ出場の可能性がある。7月下旬は、31日のトレードデッドラインを前に、どのチームが買い手で、売り手で、どの選手が引っ張りだこになるのかなど話題になるのだが、様相が少し違う。

 例えば7月17日終了時点で、47勝49敗のジャイアンツ。2年連続負け越し中の同球団は、5月までは22勝34敗で、今年も負け越しは確実、売り手に回ると見られていた。エースのマディソン・バムガーナー、クローザーのウィル・スミス、セットアッパー、サム・ダイソン、左腕トニー・ワトソンら、他球団が欲しい選手もそろっていて、新任のファーハン・ザイディ編成本部長の手腕に注目が集まっていた。

 ところが6月は14勝13敗、7月は10勝2敗で、ワイルドカードでのプレーオフ出場を狙える位置に来てしまった。ジャイアンツの長期的な目標は、地区のライバルで、今季も64勝35敗と圧倒的に強いドジャースを倒すこと。そのためにはバムガーナー、スミスなど、今季で契約が切れるベテランを、若手の有望株とトレードしておいたほうがいい。しかしながらバムガーナーは3度の世界一に多大な貢献をした街の英雄で、今でも多くのファンに愛されている。

 加えて引退を表明しているブルース・ボウチー監督は通算1973勝。メジャー7人目の2000勝監督となるとともに、もう一度プレーオフで指揮を執りたいところだろう。ザイディは昨年11月の就任会見で、バムガーナーのトレードの可能性について「どの選手も、その対象になっていないものはいない」と明言した。

 だが今この状況で、現在と将来のどちらを優先するか決断が難しくなっている。平野佳寿が所属しているダイヤモンドバックスも同じだ。ドジャースとのチーム力の差は大きいため、長期的に見て、他球団が欲しいベテランがいるなら、出したいところ。しかしここまで49勝47敗で、十分プレーオフを狙える位置にいる。

 マイク・ヘイゼンGMは7月初めの時点で、「月末に買い手になっているのか、売り手になっているのかは分からない」と話していた。微妙な立場なのは平野だ。今季は防御率4.28と、昨年の2.44よりも悪くなってしまったが、宝刀スプリットは今季も被打率.165、空振り率37.7パーセントととても良い。強い打球を打たれた確率は昨年の35.4パーセントから今年は30.1パーセントとむしろ良くなっている。

 平野はこのオフにFAになる。トレードでほしいと思うチームがあって、良い交換条件を提示してくれば、当然球団も話を聞くだろう。昨年まではご存じのように、8月31日にもウエーバーを経たトレードデッドラインがあり、2017年にはジャスティン・バーランダーのアストロズ移籍が決まった。

 しかしながらルール変更で、今年は7月31日が唯一のデッドライン。そこで各球団早めにトレードに動き出すという憶測もあったが、現在14球団の混戦でそうはなってはいない。困惑の中、7月31日は刻一刻と近づいているのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング