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週べ60周年記念

巨人のペットマークを考えた十円札のデザイナー/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

猛妻の古巣批判


表紙は中日江藤慎一



 今回は『1968年6月17日号』。定価は60円。

 低迷する阪神にOB解説者が檄。
 現役時代、猛妻と呼ばれた強打の捕手・土井垣武だ。かなり怖い、いや失礼、迫力ある顔の方である。

 自分がコーチを解任させられたのは、オーナーや社長以上に力を持つ黒幕のA氏だと言った後、
 藤本定義監督に関しても、
「阪神ファンの大多数は老監督の更迭を歓迎している。監督と選手の年齢差があまりに大きく、監督は選手の気持ちをキャッチできないのではないか」 
 と容赦ない。
 さらに、
「出る杭は打たれるというが、コーチが自己の野球を押し出しすぎるとお払い箱だ。青田(昇)がいい例だ。それに往年の豪快なカラーがだんだん影を潜め、陰でコソコソする陰険な野球に変わった。広島に移籍した山内(一弘)が広島はのびのびプレーできると言っていたが、阪神は上から重い力で押さえられているようで息苦しい。今にも押しつぶされてしまいそうないやな雰囲気だ。阪神は巨人と覇を争わなければならないチームだ。巨人のように先輩が! 指揮をとり、伝統ある猛虎魂をもう一度呼び起こすチームにすることだ。今のままではのれんが泣く。フランスのドゴール大統領でさえ国民に信を問う時勢だ。阪神電鉄上層部の英断を切に願う」
 先輩が、の後の!が怖い。いや、血の気が多い人だ。

 昔の記事は分かりづらいことが多い。巨人のペットマークの話があった。おそらく、あの長嶋茂雄の眉、川上哲治の腹というヤツだと思うが、
「勝利のVをあらわす二本の指とユーモラスな絵柄で人気のあるペットマーク」
 とだけ書いてあって、写真がない。

 坂本広報部長の発案で生まれたもので、最初は漫画家・手塚治虫氏に依頼する予定だったのが、やはり鉄腕アトムのイメージが強烈すぎるためと、相沢光朗氏に依頼したものらしい。
 相沢氏は水彩画家で終戦後、10円札のデザインをした人。ただ、このお札、見方によれば、デザインが「米国」というふうにも読めるということで、
「何も戦争に負けたからといって、お札にまで米国の字を入れなくてもよかろう」と批判されたものでもあった。

 では、また月曜に。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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