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巨人とは対照的にFA補強に消極的なチームは?

 

 2019年10月15日にFA有資格者90人が発表された。今年は西武秋山翔吾広島菊池涼介など、リーグトップクラスの選手も多く含まれており、その動向が注目されている。さて、このFA移籍市場で毎年活発に動いているのが巨人だ。これまでに両リーグ最多の26人を獲得。今回もFA市場に参戦する可能性が高いが、反対に「FA補強に消極的なチーム」はどこなのだろうか?

FA加入が0人のチームも……


広島は2002年オフに金本が阪神にFA移籍するなど出て行く選手は多いが、FAでの選手獲得はゼロ


 FA制度が始まった1993年オフから2018年オフまでの期間で、FA加入者が10人以下のチームを、人数の少ない順に並べてみた。

●広島……0人

 なんと広島はFAによる加入者は0。江藤智金本知憲など9人がFA移籍しているが、FAで入ってきた選手はこれまで一人もいない。親会社を持たない広島は、他球団よりも劣る資金力を「育成」でカバーしてきた。近年は生え抜きの育成が功を奏し、多くの若手が台頭。それが2016〜2018年のリーグ3連覇にもつながっている。2019年シーズンはリーグ優勝を逃したものの、FAで選手を獲得する可能性は低いだろう。

日本ハム……2人

 日本ハムは両リーグで2番目に多い14人をFAで放出しているが、加入者は2004年の稲葉篤紀と2017年の鶴岡慎也の2人だけ。日本ハムも選手育成に力を入れており、中田翔をはじめチームの核となる選手はすべて生え抜き。そのため、FAに頼る必要性は高くないのだろう。ちなみに、2017年に加入した鶴岡は日本ハムの生え抜き選手。2013年にソフトバンクにFA移籍した後に戻ってきた「初のFAでの出戻り選手」だ。

●西武、ロッテ……3人

 西武、ロッテが3人で同数。特筆すべきは西武だ。12球団最多の18人をFAで放出している一方で、FA加入はたった3人しかいない。主軸だった選手の移籍はチームに大きな影響を与えるものだが、西武は次々に新戦力が台頭してその穴を埋めている。生え抜きの育成力は両リーグトップクラスだ。また、ロッテもFA加入はこれまで3人と少ないが、放出は7人と移籍のほうが多い。2019年オフは大量移籍の可能性があり、この差が大きく広がるかもしれない。

昨オフ、楽天はFAで浅村を獲得した


ヤクルト、楽天……4人

 ヤクルト、楽天はこれまでにFAで4人を獲得している。ただ、ヤクルトは2008、2009年と2年連続で獲得したり、2014年には2人同時に獲得したりと、近年は積極的に動いているイメージが強い。楽天も同様で、昨年の浅村栄斗や2015年の今江敏晃、2016年の岸孝之とビッグネームを獲得しており、資金力を元にFA市場で活発に動いているイメージだ。

オリックス……6人

 オリックスは2004年には村松有人、2017年には年俸ランクがAだった増井浩俊など、FAで6人を獲得。ただ、1996年以降はリーグ優勝から遠ざかっており、FA選手加入による戦力補強がチームの躍進にはつながっていないようだ。一方で放出は昨年の西勇輝など11人。2019年オフはT-岡田がFA権を獲得したが行使しないと宣言。移籍数が7人になることは今回はなさそうだ。

中日……7人

 中日がこれまでにFAで獲得した選手は7人。2001年の谷繁元信、2007年の和田一浩など、要所要所でチームの軸となる注目選手を獲得しており、FAでの立ち回りのうまさが目立つ。ここまでの獲得人数を見るとFAで積極的といっていいだろう。2019年オフもソフトバンクからFAした福田秀平に興味を示している。ちなみに、FA放出は初年度の落合博満など9人いる。

DeNA……9人

 DeNAは9人を獲得。FA初年度に巨人から駒田徳広を獲得して話題になったのを覚えている人も多いだろう。2002年にもダイエーから若田部健一を獲得するなど、ビッグネームを獲得している。一方でFA放出も9人。5人以上獲得・放出しているチームの中では唯一獲得数と放出数が同じになっている。近年は生え抜きの活躍が目立っており、FA宣言をした選手を獲得する必要性はそこまで高くない。

 ここまでがFA加入選手が10人以下のチームとなる。人数的には、広島、日本ハム、西武、ロッテが「FA補強に消極的なチーム」といっていいだろう。特に0人の広島は12球団で最もFA補強に消極的だといえる。

 昨年オフは丸佳浩、浅村栄斗といった注目株のFA移籍が話題になったが、2019年オフも西武の秋山翔吾や広島の菊池涼介、ロッテの益田直也など注目の選手が数多くいる。いずれもFA補強に消極的なチームの選手だ。複数の選手が移籍することになれば、FAに積極的なチームと消極的なチームとの差は大きくなるのではないだろうか?

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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