昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 大川オーナーの1リーグ案
今回は『1969年8月4日特大号』。定価は80円。
学習院のご学友と浩宮さまが観戦に訪れたオールスター第1戦(東京球場)。
試合前のシートノックを
巨人・
金田正一がサプライズで行い、試合中には東映・留広との兄弟対決も実現(兄が代打)。金田は公式戦で結果を残せていないが、巨人・
川上哲治監督の推薦で出場。おそらく「もう最後だから」という温情とファンサービスを考えてだろう。
金田は留広との打席について、
「20年も野球をやってあがったことなんぞないワシがあがってしまった。照れくさいのなんのって。
でもトメは、ワシは国鉄に入ったときはまだ2歳で、ワシのひざにおしっこをかけていたのになあ。まあ、よくこんなに大きくなった。
ワシのオールスター出場はこれで最後かもしれんが、トメはこれから毎年出場できるように特別にコーチしたるで」
結果は、留広の超スローボールを打ってセカンドフライだったようだ。
一方の阪急・
西本幸雄は注目の韋駄天、
ロッテ・
飯島秀雄を入れなかった。成績からすれば当たり前なのだが、一部からは「西本監督は、永田雅一オーナーと大毎監督時代にケンカをしたから、ロッテの選手をよく思っていないのでは」の声もあった。
要はバカヤロー解任だ。
西本はそれを聞き、
「あんたらつまらんことをいつまでもこじつけるもんやな。俺はそんなこと、とっくに忘れてるで」
とあきれていた。
試合は巨人・
王貞治、
中日・
江藤慎一、阪神・田淵幸一のホームランが飛び出し、お祭りムード満点。万博寄付のため入場料が50円アップされたが、「十分楽しめました」と笑顔のお客さんが多かった。
東映・大川博オーナーへのインタビューもあった(連載で各球団のオーナーに聞いていくもの)。
大川はオーナー会議で5つの提案をしていたという。
1つはセ、パの審判部の統合。「セ、パでストライクゾーンが違うなんて、みっともないからね」。さらに、残りを聞かれると、
「1リーグ制にすること。あとの3つは小さいことで、どうってこない」ときっぱり。
大川によれば、「日本の人口、国土からし、12球団は多すぎる。8球団の1リーグにし、春秋の2シーズン制で、最後に春、秋の王者で日本一を競えばいい」。
この意見にロッテの永田オーナー以外、パは全員賛成、巨人戦の分配が減るセは全員反対だった。
さらにフランチャイズの再編成も提案。「東京4、大阪3、あとは名古屋、
広島、九州に1球団ずつ。10球団でちょうどいい」とのこと。8球団はさほどこだわってないようだ。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM