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周東だけじゃない!「足」で見せたスペシャリストたち

 

 日本代表が優勝して幕を閉じた「WBSCプレミア12」。この大会で大きな注目を集めた選手が、ソフトバンク周東佑京だ。スーパーラウンド初戦のオーストラリア戦に代走で登場すると、二盗、三盗と連続で成功させ、源田壮亮のセーフティーバントで同点のホームを踏んだ。シーズン中から素晴らしい走塁を披露してきた周東だが、「足のスペシャリスト」として、その名を世界にとどろかせた瞬間だった。今回は、周東のように走塁でファンを沸かせた「足のスペシャリスト」を紹介する。


●鈴木尚広(巨人)

 走塁のスペシャリストと聞いて、多くの野球ファンは鈴木尚広を思い浮かべるだろう。1997年にドラフト4位で巨人に入団した鈴木は、2001年に二軍で27盗塁を記録すると、翌2002年に代走要員として一軍に昇格。以降は、外野と内野を守るユーティリティープレーヤーとして活躍しつつ、俊足を生かして盗塁を積み重ねた。

 レギュラー出場が減ったシーズンでも代走として起用され続け、最終的に228個の盗塁を記録。このうち132回が代走での盗塁によるもので、これは現在も破られていない日本記録だ。鈴木は見事な走塁でチームを救った走塁のスペシャリストだった。


●福地寿樹(広島⇒西武ヤクルト

 1994年にドラフト4位で広島に入団した福地寿樹。1998年に二軍で史上初の50盗塁を記録するなど俊足を生かして活躍し、1999年には代走要員として一軍に定着した。一軍でも順調に盗塁を積み重ねるが、2004年に足を負傷すると徐々に成績が低下。2006年にトレードで西武に移籍することになる。

 西武ではレギュラー争いを制して一番に固定されると、自慢の脚力も復活し、移籍1年目はリーグ3位の25盗塁。2年目は自己最多の28盗塁を達成した。その後FAの人的補償でヤクルトに移籍するが、ここでも自慢の走力を生かし、2008年、2009年と連続でリーグ盗塁王に輝く。以降も足のスペシャリストとしてチームを支え、通算251個の盗塁を記録した。


●赤星憲広(阪神)

 セ・リーグ記録となる5年連続「リーグ盗塁王」に輝いた赤星憲広は、阪神が誇る足のスペシャリストだ。社会野球で活躍していた赤星は、2001年ドラフト4位で走塁要員として阪神に入団。当時阪神を率いていた野村克也監督の指導で走塁だけでなく打撃面も成長し、5月にはレギュラーに定着した。以降、順調に盗塁を積み重ね、1年目は新人歴代4位の39盗塁を記録。

 翌2002年はケガで出遅れながらも26盗塁でタイトルを獲得し、2003年は球団記録となる61盗塁を達成。またもや盗塁王のタイトルを獲得した。2004年には自己最多の64までその数を伸ばした。もともとの走力の高さに加え、局面ごとの適切なリードやスタートタイミングを見極める能力も赤星の大きな武器だった。

近鉄・藤瀬史朗


●藤瀬史朗(近鉄)

 1970年代から1980年代にかけてのプロ野球を知るファンなら、足のスペシャリストとして藤瀬史朗の名を挙げるだろう。試しで受けた入団テストで好走したことで近鉄入団が決まった藤瀬は、一軍でも高い走力を武器に代走で活躍。1979年には代走で25個の盗塁を記録(プロ野球記録)している。通算177盗塁のうち106は代走で記録したもので、まさに代走のスペシャリストといえる選手だった。

 ちなみに、藤瀬は「江夏の21球」で知られる1979年の日本シリーズ第7戦で、羽田耕一の代走として出場。このときは見事に二盗を決め、二塁への送球が逸れたことでさらに三塁まで進みチャンスを広げた(実際は打者がヒットエンドランのサインを見逃して盗塁の形になったのだが……)。しかし、相手バッテリーにスクイズを読まれたことでアウトになっている。広島が史上初の日本一を決めた試合なので、このときのプレーを覚えている人は多いだろう。


●代田建紀(近鉄⇒ヤクルト⇒ロッテ)

 鈴木や赤星のようには活躍できなかったが、ロッテ在籍時にここぞという場面で好走を見せた代田建紀も、その走りが印象的だった「足のスペシャリスト」だ。1998年ドラフト6位で近鉄に入団した代田は、2000年にヤクルトにトレード移籍し、二軍で60盗塁を記録。しかし、一軍で結果を残せずに戦力外となってしまう。その後、ロッテに加入するも足の故障が原因でまたもや戦力外となってしまった。

 1年間浪人をした代田は再びロッテのテストに参加し、そこで当時のバレンタイン監督から走力が認められ再度ロッテに入団。ここぞという場面で代走として起用されるようになり、2007年には「好走塁賞」も受賞した。残念ながら打撃成績の不振から出場機会が減り、2008年に引退した。ちなみに、代田はイースタン・ウエスタン両方で盗塁王になっており、これは史上唯一の記録だ。

 目立った活躍を見せた選手から、記憶に残る選手まで、「足」で見せたスペシャリスト。野球では豪快な打撃でホームランを量産する選手や、抜群の投球でバッターを打ち取るピッチャーばかり目立つが、こうした小さなチャンスを大きく広げるスペシャリストも、野球には必要不可欠。今注目を浴びている周東は来シーズンどのような活躍を見せるのか、それとも新しい走塁のスターが出てくるのか、楽しみに待ちたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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