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名門・横浜高校野球部の新体制は果たして? 「新監督人事で学校側の本気度が見えてくる」

 

新体制にぬぐえない不安


神奈川の強豪校・横浜高は甲子園で春3度、夏2度の優勝。プロ野球にも毎年、好選手を輩出している


 春夏を通じて甲子園優勝5度を誇る神奈川の名門・横浜高が、今後の行く末を占う最大の岐路を迎えている。

 今秋の秋季県大会、横浜高は9月22日に行われた桐光学園高との準々決勝で敗退。事実上、来春のセンバツ出場が絶望的となってから間もなく、地元紙が同26日、野球部の指導者による暴言と暴力の事実を報じた。

 学校側はすぐさま反応し、事実確認をした上で同28日、平田徹監督(10月18日の日本学生野球協会の審査室会議で2カ月の謹慎処分)と金子雅部長を解任。同30日には高山大輝コーチが監督代行となり、不祥事発覚以降、自粛していた練習を5日ぶりに再開した。同日に後任部長として葛蔵造校長の就任を発表し、10月1日に正式に着任。来年3月末まで同校長が野球部部長を兼務する見通しで、正式な後任監督と、新部長選出に着手していくとみられる。

 今回の迅速な対応と処分について、現場(生徒)への影響を最小限に食い止める策としては、評価する声もあった。しかしながら、ある同校卒業生は来年4月以降の新体制について、不安をぬぐえないでいるという。

「次の監督が誰になるのか……。その人事で、学校側の本気度が見えてくる。野球部を守るのか、どうなのか……。もしかしたら、このままではPL学園(大阪)のようになってしまうのではないか(2016年夏限りで休部)と、プロへ進んだ野球部OBを含め、卒業生は気にしています」

2020年から男女共学化


 横浜高と言えば毎年、有望選手が入学し、多くのプロを輩出してきた。松坂大輔筒香嘉智らが着用したユニフォームに、あこがれを抱く中学生は後を絶たない。しかし、今回の一連の不祥事により、同校を敬遠する中学生が出ないかと危惧している。

「18年夏まで3年連続で甲子園に出場していますが、周囲の評判も高く、あの戦力ならば、上位進出も期待できました。今春のセンバツは初戦敗退で、夏も十分に狙えました。しかしながら、県大会準々決勝で敗退(22年ぶりの公立校に黒星)し、秋も準々決勝敗退。これまで中学生は、横浜高校のブランド力で選んでくれましたが、結果が伴わないとどうなるか。高校野球は教育の一環。現場を預かる指導者とは、選手の人生を変える大事な存在なんです」

 かつて横浜高は渡辺元智監督と、小倉清一郎部長(のちコーチ)による同級生コンビで、全国屈指の強豪校の地位を築いてきた。ところが、小倉氏は14年夏限りで退任し、渡辺氏も15年夏を最後にユニフォームを脱ぎ、17年1月には終身名誉監督も辞している。15年秋以降は平田監督、金子部長の体制となったが、今回の不祥事により、残念な結末となった。前出の同校卒業生は嘆く。

「現場を支援してくれた野球部後援会も解散したと聞きました。横浜高校野球部の将来が心配。だからこそ、新監督がカギを握ると見ています」

 2020年4月、横浜高は男女共学化。新たな学校体制がスタートするが、名門野球部はターニングポイントに直面している。もちろん、人事権は学校サイドにあり、野球部OBは見守ることしかできない。

 横浜高は全国的な実績はもとより、熱心なファンが多い。神奈川県大会の動員力も、他校を圧倒する。春16回、夏18回の甲子園出場。通算58勝と昭和、平成からの伝統を令和以降もつないでいくためにも「新生・横浜」の門出を飾るにふさわしい、新指揮官の選出が求められている。

写真=BBM
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