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週べ60周年記念

村山実、稲尾和久、野村克也。青年監督それぞれのキャンプイン/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

野村監督のミーティングは最初から長かった?


表紙は左から巨人王貞治長嶋茂雄



 今回は『1970年2月23日号』。定価は70円。

 春季キャンプがスタートした。巻頭は、プロ4年目、阪神江夏豊の特集だ。
 最初のページの写真は、うちから出したものではないが、『左腕の誇り』という書籍で表紙になったものだ。堂々とし、男っぷりもいい。帽子をかぶらず、ブルペンで投げ込む姿は、10年選手のように、ふてぶてしくもある。

 このキャンプは3人の青年新監督が注目されていた。

 1人目の阪神・村山実監督は張り切っていた。
覇気がなかった若手投手グループに対し、
「なぜ掛け声を出さん。気合が入っていない証拠や。声を出したら病気になると思っているんか。気力がないならユニフォームを脱いでグラウンドから出てってくれ」
 と一喝。
 ただ、高校野球ならまだしも、プロ、しかも阪神だ。なかなか厳しいだけではうまくいかないようだ。
 記事では、かつての古だぬき・藤本定義元監督のセリフを例に出し、揶揄する。藤本はこう言っていたらしい。

「チームワークは高校野球がいう言葉や。プロは各人が与えられた責任をまっとうすれば、それが試合のうえで団結として現れるものじゃ。
 シジュウカラじゃあるまいし、さえずっているばかりの小鳥がええとは限らん。弱い者ほどぎゃあぎゃあ言うとる。ワシはどちらかと言えば、音なしの構えが気に入っているんや」

 2人が西鉄・稲尾和久監督。のちのロッテ監督時代とは違い、こちらも厳しさを前面に出していた。記者の反対で撤回したが、当初はキャンプで報道管制をしていたらしい。
「ファンの信用を失墜したあとなので、チームに厳しさを植え付けなければ納得してもらえないだろう。いまのライオンズを再建するには、厳しさが必要なのだ」
 ただ、唯一、マイペースを許していたのが、池永正明。特別扱いに対し、チーム内でも疑問の声があったようだ。

 そして3人目が南海・野村克也兼任監督。守りの野球を打ち出し、ブレイザー・ヘッドコーチの指揮のもと、40以上あったという守備のフォーメーションの猛練習が続いていた。
 さらに最大の特徴は、連夜のミーティング。かなりの長時間だったらしい。

 巨人のキャンプには外国人選手の売り込みがしょっちゅうあったらしいが、一つ球団もあきれたのが、シカゴのエドワード・マネイザー君。年齢は21歳という。内容は、
「私は14年間、アメリカのプロリーグで活躍してきた。ぜひ入団させてほしい」
 う〜ん、ベテランがチーム内で居場所がなくなったのかと思ったが、21歳の14年前って……7歳か。まさか天才メジャー・リーガーの売り込みだったようだ。

 書くな、という声もあったが、また『二軍の旗』がおかしな展開。いいのかな、これ……。

 では、これを令和元年最後の回とさせていただく。年明けは1月6日からスタート予定だ。もはや週べ60周年記念でもなんでもないが、ひとまず同じコーナータイトルで継続しようと思っている。
 皆さん、よいお年を。

<次回に続く>

写真=BBM
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