2019年オフは
巨人の
山口俊、
DeNAの
筒香嘉智、
西武の
秋山翔吾がMLBに移籍。いずれもチームの柱だっただけに、その穴を埋めるのはそう簡単ではないだろう。ただ、一昨年オフに主軸の
浅村栄斗がFA移籍したものの、すぐに
外崎修汰がその穴を埋めた西武のように、別の選手が見事にカバーすることも少なくない。今回は、こうした「主力放出の穴を埋める活躍を見せた選手」をピックアップしてみた。
一躍チームの顔にまで成長
●中島裕之(西武)
2003年オフに
松井稼頭央が海外FA権を行使してメジャーに挑戦。抜群の人気と実力を兼ね備えたスターの放出はチームにとって痛手だったが、中島裕之(現:中島宏之、巨人)が見事にその穴を埋めた。2004年は開幕からショートのスタメンに抜擢され、全試合にフルイニング出場。打率.287、27本塁打、90打点という好成績を残した。2005年はケガで出遅れたが、その後も不動のレギュラーとして活躍し続け、チームの顔に成長した。
和田の移籍を感じさせないほどの大躍進
●中村剛也(西武)
2007年オフに、チームの主軸として活躍してきた
和田一浩、
アレックス・カブレラが移籍。中島裕之や
G.G.佐藤がいたものの、打力の低下が懸念された。そんな中で目覚ましい活躍を見せたのが中村剛也だった。2005年に22本塁打を放ってからはなかなか成績が安定しなかったが、2008年は本塁打を量産。46本塁打で最多本塁打のタイトルを獲得し、チームの日本一に貢献した。
長年くすぶり続けた逸材が覚醒
●大田泰示(日本ハム)
2016年オフに、長らくチームの顔だった
陽岱鋼が巨人に移籍したが、その穴を埋めたのは交換トレードで巨人から加入した大田泰示だった。逸材と評価されながらも巨人では結果が残せなかった大田は、日本ハム加入初年度から陽岱鋼に代わって外野のレギュラーに抜擢。118試合に出場して15本塁打を放つ活躍を見せた。2019年は自己最多の132試合に出場して20本塁打を記録。もはやチームに欠かせない存在だ。
ルーキーがエース級の活躍
●濱口遥大(DeNA)
2016年シーズンに11勝を挙げた山口俊が、この年のオフに巨人へFA移籍。勝ち頭を失ったDeNAだったが、翌2017年はルーキーの濱口遥大が10勝6敗の成績を残す活躍を見せ、見事に山口が抜けた穴を埋めた。この年、チームはCSにも出場し、そこでも濱口は躍動。日本シリーズ進出に貢献した。現在はチームのエースに成長した
今永昇太や、期待の助っ人
ジョー・ウィーランドの活躍もあったが、濱口がいなければ日本シリーズ進出は難しかっただろう。
不振にあえぐチームで孤軍奮闘
●アレックス・ラミレス(DeNA)
2011年オフにチームの主砲だった
村田修一がFAでDeNAから巨人に移籍。その穴を埋める活躍を見せたのが、巨人を退団後に加入したアレックス・ラミレスだ。このシーズンは主に四番を務め、打率.300、19本塁打、76打点と、2011年に村田が残した成績を本塁打以外は上回った(村田の2011年は打率.253、20本塁打、70打点)。チームは最下位に沈んだが、穴埋めとしては十分過ぎる活躍を残した。
大抜擢に応えた剛速球リリーバー
●五十嵐亮太(ヤクルト)
2003年に不動の守護神だった
高津臣吾が海外FA権を行使して移籍したため、チームは中継ぎを務めていた五十嵐亮太を抑えに抜擢した。五十嵐はチームの期待に見事に応え、球団記録となる37セーブを記録。当時のNPB最速の158キロを記録するなど、大きな飛躍を遂げた。その後はMLB、
ソフトバンクを経て2019年にヤクルトに復帰し、通算800試合登板を達成(史上7人目)。2020年も活躍が期待される。
大魔神の後を見事に受け継ぐ
●木塚敦志(横浜)
1999年オフに、長らくチームの守護神を務めた
佐々木主浩がメジャーに移籍。その後釜として助っ人の
ラファエル・ベタンコートや、前年にリリーフで好投していた
福盛和男が起用されたが、思うような結果が残せなかった。そこでチームはプロ1年目の木塚敦志を新たな抑えに起用。木塚は大抜擢に応え、後半戦だけで18セーブと活躍し、佐々木が抜けた穴を見事に埋めた。翌年は中継ぎに回ることになるが、ここでも好投を見せて最優秀中継ぎのタイトルを獲得。まさかの大抜擢が新人を大きく成長させた。
こうして振り返ってみると、西武はFA流出が最多なだけあって、その穴埋めもうまい。松井稼頭央の穴を中島が埋め、その中島が抜けた後は浅村、浅村が抜ければ今度は外崎と、見事にカバーし続けている。今回は秋山が抜けてしまうが、そこまで大きな影響はないかもしれない。一方で、山口が抜けた巨人や筒香のいないDeNAは、ベテランの復調や新戦力の台頭を期待したいところだ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM