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「ワンポイント廃止」検討に、「野球がつまらなくなる」の声が

 


 メジャー・リーグが試合時間の短縮のため、投手の「ワンポント起用」を禁止する新ルールが今季から導入される。投手は3人の打者と対戦するか、イニング終了までの登板が義務付けられることになる。日本野球機構(NPB)と12球団も今月22日に都内で開催された12球団監督会議で、この「ワンポイント禁止」が議題に上がった。今季の導入は見送ることが決まったが、現場と意見交換して来季以降の適用を検討することとなった。

 地味な役割かもしれないが、勝負所で強打者を「一人一殺」で抑えるワンポイントリリーフで輝いた選手は少なくない。元大洋の平岡一郎氏は元巨人王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)との対戦で、通算50打数13安打で打率.260、被本塁打ゼロと「王キラー」として名を上げた。また、元阪神の遠山奬志氏もワンポイントで元巨人・松井秀喜氏を封じて評価を高めた。99年は松井との対戦で13打数無安打。松井氏をして「顔も見たくない」と言わしめるほどの快投で、「ピッチャー・遠山」がコールされると球場内で大歓声が起きた。

 そのほかにも他球団の外国人強打者をキリキリ舞いした西武永射保氏、当時ヤクルトバレンティン(現ソフトバンク)を抑え込んだ元DeNA加賀繁氏、元広島清川栄治氏、元中日小林正人氏などワンポイントのスペシャリストは救援陣の中で貴重な存在だった。


 現役の選手では17年ドラフト9位で入団した楽天・高梨雄平がワンポイントで首脳陣の信頼を勝ち取った代表的な投手だ。18年に球団史上最多の70試合に登板するなど、1年目から3年連続40試合以上登板。左のサイドから繰り出される直球、スライダー、シュートで左打者に絶対的な強さを誇る。

 上記の投手たちはワンポイントの場面だけで登板したわけではないが、「ワンポイント廃止」は投手にとって死活問題になるほど大きなルール改正になる。同時に、野球の戦略がガラッと変わる可能性がある。野球ファンからは「打者が変わるたびにリリーフが出てくると時間がかかるし試合が間延びする。試合時間の短縮にもつながるし賛成」という意見がある一方で、「ワンポイントの起用は野球の醍醐味。リリーフを出し惜しみすることで野球が大雑把になる。試合時間短縮のために、ほかにするべきことはあるでしょう。ワンポイント廃止で野球の魅力を削ぐのは本末転倒」と反対意見も少なくない。メジャー・リーグに追随して「ワンポイント廃止」を導入するのか。今後の動向が注目される。

写真=BBM
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