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抑えから先発に転向した投手はどんな成績を残した?

 

 2019年オフに楽天松井裕樹が「2020年シーズンは先発に転向する」と表明。入団当初は先発だった松井だが、2年目に抑えに転向すると安定した投球でセーブを積み重ね、これまで通算139セーブともはや不動の守護神に成長した。そんな松井がまさかの先発転向ということで驚いた人も多いだろう。では、過去にどんな選手が同じように抑えから先発に転向したのだろうか。

通算112セーブの守護神が先発転向



●山口俊(ブルージェイズ)

 昨シーズンオフにMLBに移籍した山口俊は抑えから先発に転向した選手だ。横浜(現DeNA)4年目の2009年途中に抑えを任されると、その年は18セーブを挙げる活躍を見せた。翌年から本格的に抑えに起用され、通算112セーブとDeNAの守護神として君臨した。しかし、2014年に先発に転向。この年は8勝5敗と勝ち越し、2016年には規定投球回には届かなかったものの、11勝5敗の成績を残した。FAで移籍した巨人では2018年にノーヒットノーランも達成。2019年はリーグトップの15勝を挙げている。抑えでも先発でも成功した例といえるだろう。

FA移籍を機に先発に戻るも現在は苦戦


楽天・涌井秀章


●涌井秀章(楽天)

 昨オフにロッテから楽天に移籍した涌井秀章も、西武時代の2012年に抑えに転向し、その後再び先発に戻った選手。抑えに回った2012年は不祥事により選手登録が一時的に無期限抹消されたが、それでもリーグ2位となる30セーブを記録した。2013年オフにロッテにFA移籍したタイミングで再び先発に戻り、2015年にはリーグ最多の15勝を記録。残念ながらこれ以降は失速し、先発転向後は48勝55敗と負けが先行してしまっている。

満を持しての先発復帰も……


藤川球児阪神

 現役選手では、阪神の藤川球児も抑えから先発に転向した経験がある。もともと先発投手だったが、中継ぎ・抑えとして定着し、2007年には46セーブ、2011年には41セーブと圧巻の成績を残した。MLB、四国アイランドリーグを経て阪神に復帰した2016年に再び先発に。5試合に先発登板したものの1勝2敗と思ったような活躍ができず再び抑えに回ることになった。

厳しいシーズンを送った後にMLBへ


巨人時代の上原浩治


●上原浩治(元巨人)

 上原は先発としてのイメージが強い選手だが、2007年シーズンは守護神不在のチーム事情もあって抑えに転向。いきなりの抑え起用ではあったが、終わってみれば当時のチーム記録となる32セーブを達成。史上2人目の「20勝・30セーブ経験者」となった。翌シーズンは先発に復帰したものの、序盤は調子が上がらず負けが先行。最終的に6勝5敗と満足のいく成績は残せなかった。

先発転向1年目は圧巻だったが……


牧田和久(楽天)

 昨シーズンオフにアメリカ球界から楽天に加入した牧田和久は、西武時代に入団1年目から開幕一軍入りを果たし先発を任された。しかし、勝ち星に恵まれない試合が続いたことから抑えに配置転換。これが功を奏し、新人ながら22セーブを記録し、新人王にも選ばれた。このまま抑えでプレーするかと思われたが、翌シーズンは先発に戻って13勝と活躍。これで先発ローテーションに定着したが、先発として勝ち越したのはこの年だけ。2015年シーズン途中に一旦抑えに戻って、16年からはリリーフに定着した。

先発で好投するも翌年は抑えに


増井浩俊オリックス

 オリックスで中継ぎ、抑えの両方で活躍している増井浩俊も、一時期先発に本格的に転向した経験がある。入団1年目は先発として起用された増井は、翌年から中継ぎに配置転換されると頭角を現し、3年間で107ホールドと活躍。その後は抑えで起用され、2015年には自身最多となる39セーブを記録した。翌2016年も序盤は抑えを任されるが、不調でセーブ失敗が続いたことから先発に転向。8試合に先発登板し、6勝を挙げる活躍を見せた(シーズン成績は10勝3敗)。

 現役ではこうした選手たちが、抑えから先発に本格的に転向した経験がある。このうち、「成功した」といえるのは山口俊、「やや成功」が涌井秀章と牧田和久くらいで、後は早々に中継ぎや抑えに戻っている。抑えから先発に転向し、結果を残すのは難しいのだろう。となると、ますます松井裕樹がどのような結果を残すのか気になることろ。先発として大成するか、再び抑えに戻るか、今シーズンの松井に注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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