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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

感染阻止へ観戦スタイルも変化!? 開幕延期は決めたが、どうなるプロ野球の風景

 

危険度が高いものは禁止事項


おなじみのジェット風船による応援もなくなる!?


 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、プロ野球の開幕が延期になった。ギリギリまで無観客での開催の方向を探ってきた春のセンバツ高校野球も中止。気候のほうはだんだんと春めいてきたが、野球ファンにとっての春はまだまだ遠いようだ。

 社会的には、次のポイントはおそらく年度が替わって新学期がスタートするタイミング。ここで学校の休校措置が解かれるような状況になっているかどうかで、かなり世の中のムードが違ってくると思うが、果たしてどうなっているだろうか。

 もちろん、そこのところの方向性を決めるカギは、疫学的見地からの状況判断が第一になるのだろうが、一方で、社会全体がさまざまな活動を止めることによる経済活動の縮小を継続していくことに限界があるのも事実。終束宣言がそう簡単に出そうな状況ともいえないだけに、おそらく今後は、すべてをストップさせるのではなく、感染爆発や医療崩壊という最悪のシナリオだけは慎重に避けながら、可能な範囲での経済活動の可能性を探ってゆく、というフェーズに、日本社会が入ってくることになるだろう。

 プロ野球界などは、まさにその悩みの真っただ中に放り込まれている、ということになるが、「ある程度下火になれば、リスクはあるが、お客さんを入れてやれるのではないかと希望を持っている」と斉藤惇コミッショナーも語っているとおり、「100パーセントの安全担保はできないまでも、いかにすれば最大限の安全が担保できるかを検討し、イベント開催の可能性を探ってゆく」という方向で議論が進められることは、まず間違いないし、実際、それはスタートしている。

 プロ野球とサッカーJリーグが設置している「新型コロナウイルス対策連絡会議」では、公式戦を開幕した際、いかにしたら選手やスタッフ、ファンを感染から守れるか、ということが議論されているが、3月12日に行われた会議では、ファンの応援スタイルに関しても、感染リスクという意味で危険度の高いものが挙げられ、禁止事項とすることが望ましいものが検討された。

 それによると、ジェット風船による応援はもちろん、トランペットなどによる鳴り物応援、集団で肩を組んだり、飛び跳ねたり、立ったり座ったりを繰り返す応援、メガホンを打ち鳴らしての応援、応援タオルを回したり、広げて左右に振るなどの応援、観客同士のハイタッチなどが、感染リスクが高いものとされており、禁止の方向となりそう。まあ、ざっくりいえば、今まで当たり前のように外野スタンドで繰り広げられていた応援のほとんどは禁止されることが予想され、シャレにもならないが、外野スタンドでは感染拡大のせいで観戦スタイルの変更を余儀なくされることになりそうだ。果たしてそんな状況になった外野スタンドに行きたいファンがどれほどいてくれるのか、というところも気になるが、また何か、安全な形での新しい応援スタイルが開発されたりもするのだろうか。

ファンがかたずをのんで見守り、打球音が響く!?


 また、アルコール類のスタンドでの販売も禁止になる可能性が高く、「ビール片手にグループで盛り上がる」という観戦スタイルもなくなるかもしれない(居酒屋で飲むよりは球場のほうがだいぶ換気はいい気がするが……)。そうなると、外野スタンドばかりでなく、ほかの観客席の風景もだいぶ変わってくることが予想される。そもそも大声を出すこと自体ができない可能性もあるので、ファンがかたずをのんで見守り、打球音が響く……、そんな空間になるのだろうか。ファンがいながら歓声のないスタジアムというのもかなり寂しい感じがするが、ちょっと見てみたい気もする。

 開幕が延びてしまったので、われわれの立場だと、開幕に向けてやってきた戦力分析なども組み直し。この延期が戦力面にどのような影響を及ぼすか、「どの故障者が間に合って、不調の誰々が再調整できて、逆に今が絶好調のこの選手はちょっと落ちてくるかもな……」などと、計算をやり直すことになるわけだが、そんなチマチマした机上の計算より、やっぱり早く真剣勝負を目の前で見たいもの。早くその日が来てくれるのを祈るばかりだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM
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