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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

なぜ無観客試合なのに球場に来る人がいるのか

 

3月25日の戸田球場。無観客試合なのに集まる人がいる


 ヤクルト二軍本拠地の戸田球場は、土手からグラウンドを見下ろすことができる。今年は外野にもスタンドが増設されたが、観客が入り切らない場合、この土手から観戦するファンも少なくない。

 現在二軍は、本来の公式戦と同じカードを消化しているが、すべて練習試合扱いとなっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、無観客試合として行われている。ヤクルト球団は「土手からの観戦もご遠慮くださいますようよろしくお願い致します」とも呼び掛けている。

 それにもかかわらず、球場に来る人間がいる。土手に折り畳み式のイスを置いて観戦する老人、レジャーシートを敷いて観戦する親子……。こういった人々は、一体何のための無観客試合なのか、分かっていないのだろう。愛するチームの呼びかけや努力を無視し、球場に訪れて選手を危険にさらす。厳しい言い方かもしれないが、こういった行いをする人間を、ファンと呼んでいいとは思えない。

 どういう気持ちで、どういう神経で訪れるのか。「野球が見たい」という気持ちだろうが、「選手に感染させてしまうかもしれない」や「観戦者の中から感染者が出たら問題になるかも」、「チームに迷惑をかけるかも」といった配慮の気持ちは生まれないのだろうか。それとも、「自分は絶対に罹患しないから大丈夫」という、まったく根拠のない自信を持ってやって来るのか。土手からの観戦もしないように呼び掛けられているのに、「土手からだから問題ない」と思っているのだろうか。注意されたら「たまたま通りかかったところで野球の試合をやっていたので、立ち止まって見ていた」とでも言い訳するつもりだろうか。

 26日、阪神藤浪晋太郎選手らに新型コロナウイルスの陽性反応があった。これ以上の感染拡大を食い止めなければ、プロ野球の開幕は到底不可能だろう。逆に言えば、感染防止がプロ野球の開幕につながり、通常どおり観戦できる環境が整うことへの近道になる。そして感染防止は、一人ひとりの徹底した予防が必要だ。無観客試合なのに球場に来る行動は、開幕をさらに遅らせる遠因になりかねない。どういった行動が最適なのか、今一度自分の心に問うてほしい。

 ただ、きちんと球団の呼びかけに応じて観戦を我慢しているファンがいることも、忘れてはならない。

文=依田真衣子 写真=BBM
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