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オリックス・山岡泰輔の変化球論「160キロだって打たれる」

 

6球種を操り打者に的を絞らせないオリックス山岡泰輔


 スピードに胸を躍らせるファンは少なくない。日本ハム時代の2016年、大谷翔平(現エンゼルス)が日本最速となる165キロを計測し、昨年4月には大船渡高・佐々木朗希(現ロッテ)が高校生史上最速とされる163キロをマーク。“スピード表示”は常に話題を呼ぶ。

 速球を投じることは“天性”とも言われ、誰でも投げられるわけではないからこそ、魅了されるスピードボール。だが、何も「速球=打者を抑える」が成り立つわけではないから面白い。

 昨季、13勝を挙げてパ・リーグの勝率第一位を獲得したオリックスの山岡泰輔。最も勝つ確率が高かった右腕だが、その直球の平均球速は約145キロと決して速いわけではない。そんな右腕の投球を支えているのが6つの“変化球”だ。

「昔から真っすぐに自信がなかったんです。その中で打者をどう抑えていくかを考えたときに、変化球が必要になる。だから覚えてきました。でも“誰かと同じ”では、打者にとって見慣れたボールだから意味がない。そう考えて変化球を突き詰めてもきた。僕のスライダーにしてもそうですが、独自の変化を磨くことで、自分の投球の武器となると思うんです」

 だから、“投球”ではなく“配球”となれば1つの考えを持つ。

「変化球はストレートを生かすためにあるとは思います。でも、だからと言って『投球の軸が真っすぐ』というわけではない。どちらかと言えば、ピッチングという木があれば、その幹が変化球で、枝・葉がストレートになると思っているんです」

 “投球の幹”を成す変化球が複数あれば、投球の幅が広がっていく──。その考えは技術が進化した時代の流れであると同時に、ストレートの“使い方”の意識を強くしている。

「スライダー、スライダーと続け、またスライダーで意表を突くことも必要。そうなれば、今後はどこでストレートを投げるか。そのタイミングが大事になると思うんです。それが、カーブやカットボールなど、軸が増えれば、打者も的を絞りにくくなるし、今度はストレートで不意を突かれることも出てくる。だから、ストレートは“枝・葉”なんですよね」

 球速150キロを超える投手は珍しくなくなっている現在の野球界。「150キロだって、160キロだって打たれる。打者のレベルも上がってきているんですから」と、常に打者を封じる投球を探求し続ける。“球速”に劣らぬ魅力がある変化球。その世界は奥深い。

写真=BBM
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