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バース、ブライアント……「無名」だったが日本で大活躍した外国人とは

 

 メジャーで華々しいキャリアをひっさげた大物外国人が期待外れの結果で終わることは珍しくない。一方で、テスト入団やメジャーで実績が皆無の「格安助っ人」が日本で大活躍するケースも。以下の選手たちは来日した時に前評判が高いわけではなかったが、異国の地で「ジャパニーズドリーム」をつかんだ。


ラルフ・ブライアント(元中日、近鉄) 
※773試合出場 打率.261、259本塁打、641打点

 1988年5月に中日に年俸780万円で入団も外国人枠の兼ね合いもあり、ファーム暮らしが続いていた。運命が変わったのが1カ月後の6月。近鉄の主砲だったリチャード・デービスが大麻不法所持で逮捕されて退団したため、緊急補強で白羽の矢が立ったのがブライアントだった。近鉄に金銭トレードされると、同年に74試合出場で34本塁打をマーク。翌89年は黄金期の西武と10月の天王山で郭泰源渡辺久信(現西武GM)から1試合3本塁打を放つなど、シーズン49本塁打でリーグ優勝に貢献した。NPBで8年間プレーし、本塁打王3度、打点王を1度獲得。93年にはNPB最多の204三振を喫するなど三振数も多く、「本塁打か空振り」の豪快な長距離砲だった。

阪神・バース


ランディ・バース(元阪神) 
※614試合出場 打率.337、202本塁打、486打点

 外国人で史上最多の2度の三冠王を獲得するなど「史上最強の助っ人」の呼び声高いバースだが、メジャー通算9本塁打で直球への弱さを指摘されるなど来日当初の前評判は高くなかった。年俸3000万円で1983年阪神に入団し、1年目の前半戦は調子が上がらず、チームが低迷していたため「途中解雇」も一部メディアで報じられたが、後半戦で日本野球に対応すると打ちまくった。85年に三冠王に輝き、チーム初の日本一の原動力に。86年もNPB最高打率.389で2年連続三冠王を獲得した。バースが阪神を退団して32年が経ったが、在阪メディアは現在も前評判が高い新外国人を獲得する度に「バースの再来」と報じるなど、神格化された存在だ。

横浜・ローズ


ロバート・ローズ(元横浜、ロッテ) 
※1039試合出場 打率.325、167本塁打、808打点

 年俸3600万円で1993年に横浜に入団。メジャー経験は73試合で打率.245、5本塁打と目立った実績はなく、同時期に入団した長距離砲のグレン・ブラッグスのほうが注目度は高かった。「守備の人」の触れ込みだったローズは来日1年目の開幕戦で犠打を命じられていることからも分かるように、打撃では首脳陣にあまり期待されていなかった。ところが、体の近くまで極限まで引きつけて広角に打ち分ける打撃技術で1年目に打点王を獲得し、「マシンガン打線」の四番に。98年に38年ぶりのリーグ優勝に貢献し、翌99年は打率.369、37本塁打、153打点で首位打者、打点王を獲得した。二塁の守備も遊撃・石井琢朗(現巨人一軍野手総合コーチ)とのコンビネーションで併殺を取る速さに定評があり、NPB通算打率.325の高打率で、「史上最強の二塁手」の呼び声が高い。

中日・ブランコ


トニ・ブランコ(元中日、DeNAオリックス
※750試合出場 打率.272、181本塁打、542打点

 2009年に中日に年俸2700万円で入団。前年に退団したタイロン・ウッズは年俸6億円だったため、20分の1以下の年俸で獲得した「格安助っ人」だった。来日1年目の開幕戦・横浜(現DeNA)戦で三浦大輔(現DeNA二軍監督)からバックスクリーン直撃のホームランを放ち、来日初安打初本塁打の鮮烈デビュー。その後も全試合で四番に座り39本塁打、110打点で2冠に輝く。13年にDeNAに移籍すると、同年に打率.333、41本塁打、136打点で首位打者、打点王と2度目の2冠を獲得した。バットのヘッドスピードが異常に速く、度肝を抜く飛距離で場外アーチを連発した。

巨人・ガルベス


バルビーノ・ガルベス(元巨人)
※106試合登板 46勝43敗、防御率3.31

「悪童」のイメージが強いかもしれないが、ガルベスも日本で名を上げた選手の代表格だ。米国ではマイナー暮らしが続き、1996年に志願して巨人の春季キャンプにテスト生として受験。年俸2500万円で入団が決まった。身長180センチ、体重100キロを超える巨体から直球は150キロを超えたが、意外にも技巧派で制球力とシュート、スライダー、チェンジアップを武器に相手を翻弄するスタイルだった。来日1年目に16勝6敗の好成績で最多勝を獲得。2年目も2ケタ勝利を挙げたが、3年目の98年7月31日の阪神戦(甲子園)で審判にボールを投げつける暴挙を起こして野球人生が暗転。走者を過度に気にして投球リズムを崩す場面が目立ち、成績も下降線をたどった。2000年はわずか6試合の登板で未勝利に終わり、退団した。

DeNA・ソト


ネフタリ・ソト(DeNA)
※248試合出場 打率.288、84本塁打、203打点

 2017年にテスト入団を受けて年俸3500万円でDeNAに入団。18年に開幕一軍入りも右ふくらはぎの違和感を訴えて出場ないまま抹消したが、5月に一軍昇格すると本塁打を量産。107試合出場で41本塁打を放ちタイトルを獲得すると、昨年も43本塁打、108打点で2冠を獲得。巨人戦で13本塁打と球団新の同戦シーズン最多本塁打の個人記録を更新するなど相性の良さを誇った。今季は2年目契約2年目で年俸は1億8500万円。さらなる活躍が期待される。

写真=BBM
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