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ロッテ・鳥谷敬の強靭な心身の原点は柔道「精神的に強くなった」

 


 鳥谷敬がロッテの一員として実戦デビュー(3月17日、巨人との練習試合、ロッテ浦和)してから1カ月が経過した。新型コロナウイルスの感染拡大により、開幕の見通しが立っていないプロ野球。現在は不要不急の外出を控えなければならない、緊急事態宣言の最中にある。一日も早く感染拡大が収束し、ファンは、ベテランが一軍の舞台で再び躍動する姿を心待ちにしているに違いない。

 今年6月で39歳になるが、練習試合での動きを見る限り、オファーを待っていた間も、しっかりとトレーニングを積んできたようだ。何より、体が引き締まっていることが証明している。阪神時代、連続試合フルイニング出場(667試合、歴代4位)、連続試合出場(1939試合、歴代2位)を継続してきただけのことはある。強じんな体は、自己管理の賜物だ。

 基礎体力は、どこからきているのか。

 早大2年夏(2001年)、安部寮(野球部合宿所)で聞いた話が興味深かった。鳥谷は同春、東京六大学リーグ戦で戦後11人目の三冠王(打率.465、2本塁打、10打点)に輝いた。早大では1978年秋の岡田彰布(元阪神ほか)氏以来の快挙で、一気に注目度がアップしたタイミングであった。

 野球を始めたのは小学校2年時からだが、1年生から6年間、柔道の道場に稽古通いしていた。野球と武道を両立。柔道では東村山市と、青梅市の大会での優勝実績がある。小学生は体重別ではなく、年齢別。鳥谷は小柄な部類だったが、大型選手とも対等に渡り合ったという。当時、20歳の鳥谷は「柔道効果」をこのように語っていた。

「団体スポーツの野球とは違って、柔道は1対1の個人的な戦い。自分の力で、勝つか、負けるかが決まる。精神的に強くなった」

 すでに、大学時代から集中力を高めた際には、人を引き寄せない特別なオーラがあった。全体練習を終え、夕食後は就寝前まで室内練習場での打撃練習が日課。ストイックなまでに自分と向き合うことができた。二十歳にして、超一流のアスリート魂を持ち合わせていた。

鳥谷は早大時代、遊撃手で5回のベストナイン受賞。4年間で通算115安打(歴代9位)を放ち、2003年開催のドラフト自由獲得枠で阪神に入団した


 早大では計8シーズンのうち、遊撃手で5回のベストナイン受賞。いかにも、体幹の強さが際立っていた守備力も、安定感抜群だった。つまり、攻守で体の芯がブレない。また、心も同様、一本の筋が通っていた印象だ。あれから19年が経過したが、鋭い視線は、まだまだ健在。プロ野球人・鳥谷の原点は、礼儀も学んだ武道が根底にあったのである。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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