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巨人・岡本和真の落合流トレーニングの成果は/川口和久WEBコラム

 

昭和トレでマンネリ打破!


さらなる大化けをするのかな。写真提供:読売巨人



 長期戦になってきたね。
 開幕が6月以降、試合数の減の可能性まではNPBが明言したが、感染だけじゃなく、世論の反応も考えながらいかなきゃいけないから決断は大変だと思う。
 結果的に、どんどん延びているのが、選手の「第二次自主トレ」だ。
 週べの雑誌でのコラムはそのテーマで書いたが、自主トレで一番怖いのはマンネリ。単調な練習に飽きることで、どうしても「きょうはこのくらいでいいか」になる。
 まあ、いつから開幕が決まらないと逆算の調整もできないし、難しいことは分かるが、あとあと悔やむような「空白期間」にならないよう頑張ってほしい。

 映像でだが、巨人の岡本和真が超スローボールを打つ練習をしているのを見た。あれは落合博満さんが現役時代によくやっていた。
 落合さんは左肩を開かず(右打者)、ボールをぎりぎりまで引き寄せて、それこそ自分の体の正面くらいにミートポイントを置き、右へ左へきれいに打ち分けた。
 バットがボールに当たる感触を確かめているのかなと思っていた。微妙な角度や力の入れ方、逆に抜き方とかね。
 あの人はバットを鞭のようにしならせてボールを乗せて運ぶのが、とてもうまい人だった。

 最初に見たのは落合さんが中日時代だったが、思ったのは、これは投げるのも大変だなということ。あのスピードできちんとコントロールするのは簡単じゃない。職人技だと思うよ。

 落合さんと言えば、まあ、俺もそうだが、昭和の野球人だ。
 令和になって、昭和と野球の何が変わったか考えてみると、1つは球速だろう。
 平均5キロ以上は間違いなく速くなった。ただ、昔は先発でも今みたいに中6日の100球じゃなかったからね。完投を意識しながらメリハリをつけ、9回が一番速いというバケモノみたいな人もいた。
 ただ、そうは言っても速くて150キロ台中盤。それがもはや160キロ超、170キロも出ようかという時代だからね。
 打者も、このスピード時代に合わせてバットをひたすら軽くし、筋力をつけてスイングスピードを上げている。
 よく打撃のタイミングは1、2、3という。昔は、このうち2の部分が長く、間がつくれるバッターがいいバッターとも言われたが、今はトップつくったらすぐ振るというか、ほとんど1、2のタイミングに見える。
 ただ、じゃあ昭和の1、2(に〜い)、3のタイミングだった落合さんが今、活躍できないかと言えば、そんなことはないと思う。当時だって150キロを超える真っすぐとえげつないフォークを持っている野茂英雄佐々木主浩からそれなりに打っていた。
 そのときはタイミングを早めているようも見えたが、あの人のなりの「2の間」はあるんだろう、と思っていた。
 そして、その感覚を磨くのが、スローボールを打つことなのかな。

 同じことを広島前田智徳のティーを見ていても感じたことがある。あいつは横からもそうだが、後ろから投げた球を、感触を確かめるようによく打ってた。
 投手ならともかく、天才バッターの考えることは俺には分からないけど、前田はホームランを打っても面白くなさそうな顔をしてたことがよくあった。
 あれも感触が気にいらなかったんだろうね。

 岡本がどこまで考えてやったのかは分からないけど、この時期でもあるし、昭和を学ぶことは令和で戦うあいつにもマイナスにはならないと思うよ。
 そうだ、俺もゴルフで、たまには物置でほこりをかぶっているパーシモンのドライバーでも使ってみようか。
 曲がりまくるだけかな。
 
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