プロ野球の開幕が延期となり、チームの活動もストップしている中、選手たちは自宅でできる範囲のトレーニングなどでいつ開幕を迎えてもいいように準備をしている。楽天では広報を通じて定期的に選手たちの様子を伝えているが、選手自身もSNSなどで発信しファンとの交流を図っているようだ。

　4年目を迎えた高梨雄平は自身のツイッターで得意な料理を数多く披露している。出来上がりの写真だけではなく、作り方を動画で公開するなどまるでレシピ動画のような仕上がりの日も。もともと料理好きだったこともあるが、家にいる時間が増えたことで手の込んだ料理にも挑戦している。

　もちろんこれは体づくりの一環だ。楽天には専属の管理栄養士がいるが、寮を出た選手にとってバランスのとれた食事をとることは簡単なことではない。プロ野球選手として体が資本だということを十分に理解しているからこそ、食事にも気を使っているのだ。チームでの動きが停止しているいま、自主トレーニングや食事に気をつけなければ開幕に備えることはできない。

　昨季はシーズン中に急性虫垂炎の手術を受けたことが影響し約1カ月間離脱した高梨。不完全燃焼となったシーズンを終え、あらためて自身の体とも向き合った。オフの間に増加しがちな体重管理を徹底。さらに「年を重ねていく中でこれまでと同じやり方では通用しない。自分も進化していかないと」と手先だけではなく体全体を効率よく使った投球フォームへの修正にも取り組んだ。その感覚を維持し続けることは容易ではないが、試合がない期間の我慢や努力が開幕後に生きてくることは間違いない。心身ともにいい状態を維持できるよう努めている。

　外出自粛はもちろん制限のかかる生活の中でプロとしての意識を忘れず、来たる開幕に向け準備を進めている選手たち。開幕後は準備を怠らなかった選手たちが最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう。その時までもう少し選手を応援しながら自粛生活を乗り越えていきたいところだ。

　本格的なレシピに加え、盛り付けにもこだわりを見せる左腕のツイッターはぜひチェックしてみてほしい。

文＝阿部ちはる　写真＝BBM