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「STAY HOME」――ドラフト1位候補右腕・栗林良吏の現在

 

トヨタ自動車の153キロ右腕・栗林良吏は「ドラフト1位候補」に挙がる好素材だ


「STAY HOME」

 ドラフト候補も「不要不急の外出」を控えている。シーズンが開幕しない以上、残念ながらアピールする機会がない。社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)は5月8日、オープン戦の自粛期間の延長を要請した。現行では5月15日であったが、6月5日まで。JABA公式大会の中止期間は5月31日から6月30日となった。政府からの緊急事態宣言の延長の発令を受けての対応である。

 トヨタ自動車の153キロ右腕・栗林良吏(名城大)も、緊急事態宣言以降は、チームの活動自粛のため、1日出社。会社と野球部寮を往復する日々を過ごしている。

「家の中でできることをやっていくしかない。マイブームは料理。披露するのも恥ずかしいですが、野菜炒めが得意メニューです」

 球場のほか、施設使用ができない。この期間、投手として投げることができないのが、最もつらいところ。3月まで順調にメニューを消化してきただけに、肩・ヒジの感覚が鈍らないか心配だ。自室では時間があればボールを握って、指先の感触を確かめているという。

 唯一、気分転換となっているのは昼休みのランニングだ。人事課の上司に陸上長距離部の関係者がおり、約5キロを走っている。それ以外は、感染拡大の防止が最優先。会社、野球部が共有する徹底事項であり、チームの一員として順守しなければならない。

 栗林は入社1年目の昨年、都市対抗、日本選手権で結果を残した。12月にはアジアウインターリーグ(台湾)に出場し、JABA選抜チームのクローザーとして優勝に貢献した。先発、救援としての適性を見せており、NPBスカウトへの「売り込み」は十分と言っていい。「ドラフト1位候補」は揺るぎない立場だ。当面の照準は、9月15日から予定される都市対抗東海地区二次予選。この場でしっかり、元気な姿を見せればいいのである。

 活動が再開した際は、もう一度、体づくりから集中してやるという。首脳陣から選手へ通達されており、栗林もじっと我慢することがいま、最大限にできることであると自覚している。焦る必要はない。慌てることが故障につながることも、理解している。

 生まれも育ちも愛知県。愛知黎明高、名城大、トヨタ自動車と、ずっと地元でプレーしてきた。好きな球団を聞くと「結果を気にするのは、中日です」と答えた。地元重視のスカウト戦略を基本としている中日。昨年は東邦高・石川昂弥を1位で獲得し、今年はどんなジャッジを下すのか、注目されるところである。

 ドラフトは11月5日に予定されている。栗林はとにかく、いま直面する「おうち時間」を工夫し、次につながる充実した期間にする。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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