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高校野球の監督の最もつらい仕事とは何か?

 

8月10日から計6日間、甲子園で「2020年甲子園高校野球交流試合」が行われる


 高校野球の監督が最もつらい仕事は何か?

 2020年夏。夏の全国大会(甲子園)と地方大会が中止を受けて、全国47都道府県高野連主催の「独自・代替大会」が開催される。最後の夏。3年生に花道を飾ってもらおうと、各連盟では1試合ごとにメンバー登録変更が可能という、過去にない「配慮」がされる。

 1試合でも多く勝ち上がり、3年生全員が背番号を着けてグラウンドに立てれば良いが、すべてのチームでうまく機能するとは限らない。オール3年生で戦うチームもあれば、実力主義でメンバーを決める学校もある。例年ならば、3年生と下級生で同じ技量ならば、新チーム以降を見据えて下級生を選出するのが一般的。しかし、今年に限っては3年生を優先するチームが多いはずだ。

 8月にはセンバツ出場32校の「救済措置」となる「交流試合」が甲子園で開催される。監督としては、この20人(通常の夏よりも2人増)の決定こそが、最も頭を悩ませるはずだ。

 ある全国大会常連校は3月に最終登録した18人は固定で、残り2人を3年生に決めさせるという。この18人を絶対に譲らないのは、一冬をかけて、厳しいチーム内競争を勝ち抜いてきたからだ。仮に現状において横一線で競争させれば、数人は外れるという。あくまでもセンバツの「代替試合」という趣旨からすれば、一番スッキリする形かもしれない。

 対照的にある学校では、あくまで「夏の甲子園」の扱いで、実力主義で20人メンバー争いを繰り広げるという。勝っても負けても1試合限定。力のある者から、監督判断でベンチ入りを決定する。これも、一つの考えである。

 このように、招待校32校で独自のカラーが出てくると思われる。オール3年生、または2年生中心、1年生を抜てきする学校もあるだろうか――。主催者により用意された甲子園での1試合を、どのような形で完全燃焼するか――。招待人員は責任教師、監督、選手20人、記録員1人、ノッカー1人、補助員5人、校長か準じる者1人の合計30人以内となっている。つまり、ベンチ入り選手以外にも、補助員らで甲子園に帯同できるチャンスが残されているのだ。

 ここの選考も難しい。「基準」がないからだ。各招待校の監督は「教育的観点」からどのような線引きをするのか、眠れない夜が続く。

文=岡本朋祐 写真=宮原和也
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