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川口和久WEBコラム

澤村拓一、相手を分析する前に自分を分析したらどうだ/川口和久WEBコラム

 

原巨人の起爆剤にも地雷にもなる


澤村、これも期待の裏返しだよ


 7月1日のDeNA戦(東京ドーム)、四番手で出てきた巨人澤村拓一が四球2つでピンチを広げ、続く高木京介オースティンに逆転打を打たれ、負けた。

 すべてと言わないが、間違いなく、澤村の責任は大きい。打たれたのなら仕方ないが、勝手な一人相撲だからね。

 その後、試合中なのに原辰徳監督がベンチで澤村を叱っているシーンがあったが、澤村、あれはまだ、原監督がお前に期待しているからだ。
 期待してない選手に怒っても疲れるだけだからね。

 でも……もうあいつも9年目の32歳。俺は正直、「まったく変わってないな」とあきれながら見ていた。原監督だって、半分はそういう目で見ていると思う。

 彼が入団したとき俺はコーチだったが、あいつのスライダーを見て、びっくりした。真横にすっと滑る。打者は分かっていても打ち損じるなと思った。真っすぐはシュート回転して打者からしたら見極めがしやすいが、それでも150キロを超えていたし、それを修正し、このスライダーがあれば、すごい投手になるんじゃないかと楽しみだった。

 ただ、あれから澤村は、年々体こそウエートででかくなったが、技術的には、ずっと時計が止まったままだ。
 このままだと、課題はあるが、それをクリアすれば……と言われ続けたまま、引退してるかもしれない。

 昨年コラムで力を抜くことを覚えた、とほめたことがあったが、完全に戻ってしまった。軸足からの重心移動で、体が前に乗っていってから腰を回すべきなのに、まだ後ろに残った状態で、強引に腰を回している。
 その投げ方でも確かにスピードガンの球速が出るかもしれないが、ピッチャーはスピードガンと勝負してるわけじゃない。

 澤村、ほんと何やっているんだ。

 あの試合で言えば、DeNAの打者は荒っぽいし、打ち損じはあるけど、結構、ボールに食らいついて粘るタイプが多い。彼らから見たら、あの日の澤村は、塁に出るだけなら難しくない投手だったと思う。早打ちせず、ボール球に手を出さなければ、勝手に自分で自分を追い詰めていくからね。
 投球パターンも若いころと変わらない。悪くなるとスライダーが言うことをきかなくなり、真っすぐを投げたがる。サインにクビを振った後は、ほとんど真っすぐだからね。
 ただ、その投げたがる真っすぐも抑えが効かず、やっとストライクゾーンに来てもシュート回転して甘いところに入り、痛打を食らう。

 そうは言っても、現状のリリーフ陣の中では、経験があって150キロ出る澤村が必要だと原監督は思っているはずだ。だから公開説教もした。
 原監督の澤村への思い入れが優勝への起爆剤になるか、あるいは地雷のように大事なところでチームを巻き込んで爆発するか。

 澤村、もう相手の研究などしている場合じゃないよ。あらためて、自分自身をしっかり分析し直したほうがいい。

写真=BBM
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