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“ポスト郡司”は誰だ!? 慶大の正捕手を狙う男に際立つグラウンドでの存在感

 

慶大の3年生捕手・福井章吾は大阪桐蔭高3年春のセンバツ(17年春)で、主将・捕手として優勝を経験している


 攻守のすべてにオーラがある。

 捕手は「司令塔」とも呼ばれるが、慶大・福井章吾(3年・大阪桐蔭高)の存在感はグラウンド上で際立っていた。

 7月11日、三菱日立パワーシステムズとのオープン戦(慶大グラウンド)で「八番・捕手」で先発出場。同級生の先発右腕・森田晃介(3年・慶應義塾高)を好リード。低めの変化球を体で止めるストッピング、返球もビシッとしているから、テンポ良く投げ込める。投手、野手への指示も的確であり、視野が広い。

 1対1で迎えた4回表。森田は2点適時打で勝ち越しを許した後も制球を乱し、一死満塁のピンチを背負うが、後続を抑えた。さらに追加点を許していれば、相手に主導権を握られるところだったが、福井は冷静に対処。森田もマウンドで慌てることはなかった。この悪い流れを食い止めると、慶大は5回裏、正木智也(3年・慶應義塾高)の2ランで追いつき、自チームへペースを引き戻している。

 慶大・堀井哲也監督は、福井のプレースタイルについて「日本の野球において求める像。投手を引っ張る。チームをまとめる。鼓舞する。教えてもできない分野が出来上がっている」と絶賛する。とはいえ、レギュラー確約とはいかない状況にある。4年生捕手・植田響介(高松商高)と、激しいレギュラー争いを展開。この試合では、福井に代わり、試合後半から途中出場すると、同点の6回裏、中堅右へ特大の逆転ソロを放っている。最上級生による、猛烈なアピールだった。

 慶大は昨秋まで7シーズン、郡司裕也(現中日)が不動の正捕手の座を担ってきた。ポスト・郡司は? 堀井監督は「植田は肩と打力。パーツが素晴らしい」と、どちらにレギュラーを託すか、悩ましい日々が続きそうだ。

 さて、福井に話を戻すと、打席においても、独特の世界観がある。右投げ左打ちの捕手。大阪桐蔭高の先輩である西武森友哉にそっくり。打席の入り方、構え、そしてボールの見送り方。昨秋まで慶大を率いた大久保秀昭監督(現ENEOS監督)は、福井を将来の球界を支える「幹部候補」として高く評価したが、確かにすべての動きに目を奪われる。

 慶大のライバル・早大は、大阪桐蔭高で同級生だった岩本久重がマスクをかぶるのが有力となっている。春のリーグ戦は8月10日に開幕。伝統の早慶戦は同15日に組まれており、福井がマスクを託されれば「捕手対決」という視点からも、注目の一戦となりそうだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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