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【MLB】開幕からプレーオフモードの激戦開始。60試合の最短シーズン

 

ようやく開幕が決まったがシーズン60試合と短い。エンゼルスのマドン監督はプレーオフのような戦い方をしていくことを明言している


 エンゼルスのジョー・マドン監督は、短いシーズンで戦い方は変わるかと聞かれ「残り60試合で首位タイということ。であれば、最初からプレーオフモードの戦い方になる。先発投手を早めに交代させるかもしれないし、必ずしも野手も休ませる必要はない。もっとも開幕直後はキャンプも短いから、用心しながら使うことになる」と説明した。

 そして開幕が4カ月も遅れたことで、リハビリ組の大谷翔平グリフィン・カニングらがスタートから万全で臨めることについて、「周囲の評価以上にうちのピッチングスタッフは良い。早くチームとしてまとまれればチャンスがある」と優勝争いへの意欲を示した。

 言うまでもない、長いMLBの歴史の中でも特筆すべき風変わりなシーズンが待っている。1994年、ストライキでワールド・シリーズがキャンセルされたときでも各チーム110数試合戦った。今年は66日間で60試合である。キャンプも3週間半と短いから、いきなり身体をゲームのスピードに戻すことになりケガしやすい。

 そこで最初の2週間はベンチ入り30人、その後の2週間は28人、その後に26人と減らしていく。加えて新型コロナの集団感染の心配があり、マイナー・リーガーによる60選手のプレーヤープールを登録しうち20人をタクシースクワッド(練習用チーム)として待機させる。

 これまでの10日間の故障者リストに加え、無期限の新型コロナ故障者リストも用意したが、通常よりかなり増えるであろう戦線離脱者の穴をすぐに埋められるようにしてある。フィールドでも他者と距離を取るよう気をつけなければならないが、選手も監督も抗議でアンパイアに6フィート以内(約183センチ)に近づくと、出場停止処分という珍ルールには驚いた。

 試合が長くなり選手たちが長時間一緒にいなくて済むように、延長戦は全ての回を走者二塁から始める。雨で中断となったら、やむまで待つのではなく、即延期とする。チームの移動を減らすべく、60試合の内訳は同地区の4球団と10試合ずつ。残り20試合はインターリーグで、東なら東、西なら西と地理的に近いチームと戦う。2カ月弱のシーズンで、その真ん中、8月31日がトレードデッドラインになる。

 通常優勝を狙うチームがレースから脱落したチームから補強するが、1カ月で果たしてどれだけ脱落チームが出るのか見ものだ。記録についていえば、規定打席数が186打席でいいので、久しぶりに4割打者が出るかもしれない。そこは言うまでもなく注釈付きである。

 大変なのは健康と安全を守るための101ページに及ぶマニュアルの徹底である。選手は2日に一度検査を受ける。ハイファイブはしない、ツバは吐かない、シャワーを浴びるのもなるべく避けるなどなど、事細かに定められている。だがマドン監督はこう話す。「不便で心地よくない環境をむしろ利用することが重要。心の持ちようでむしろアドバンテージになる。そんなに難しいことではない」。

 そして「今季は特にスタートダッシュが重要になる。短いシーズンだから、差をつけられたら、追いつきにくい。出足から、勝つことに貪欲に戦う」と言う。

 楽しみである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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