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公立校出身の苦労人。チームを盛り上げる早大の代打男

 

早大・村田大誠は7月19日、ENEOSとのオープン戦で同点タイムリー。次打者の勝ち越し適時打で三塁へ進塁した


「無観客試合」で行われた安部球場(東京都西東京市)でのオープン戦(7月19日、早大対ENEOS)。ネット裏のシートでは、早大の控え部員がひっそりと戦況を見守っていた。シーソーゲームとなったこの一戦、最も盛り上がったのは7回表だった。

 1点を追う二死一、三塁。代打・村田大誠(4年・高志高)が、しぶとく右前へ同点タイムリーを放っている(試合はその後、点の取り合いとなり4対7で早大敗退)。村田は182センチ96キロの右打者。体全体をボールにぶつけるような、まさしく気持ちで運んだ一打であった。

 高校時代は四番・捕手。3年夏は福井大会2回戦で福井商高に0対10、5回コールドで敗退している。指定校推薦で早大進学。打力を生かすために一塁へ転向したが、2年生以下で編成するフレッシュリーグでは出場も、Aチーム(一軍)のメンバー入りへの道は険しかった。昨秋のシーズン後、出場機会を得るために捕手に再転向して、最終学年にして代打要員としてチャンスをつかんだのだ。

 豊嶋健太郎マネジャー(4年・南山高)は同級生のエピソードをこう明かす。

「人一倍、努力してきた。今年のチームのムードメーカーでもあります。スポーツ推薦の選手が活躍するケースが多い中で、村田のような、たたき上げの選手が結果を残すのはうれしいです。今後も1打席勝負。集中力を持って頑張ってほしいと思います」

 背番号27。試合中はブルペンで投手陣を鼓舞し、終盤の勝負どころで出番を待つ。村田のような公立高校出身の苦労人が活躍すると、チームの士気は自然と上がる。8月10日の開幕が予定される春季リーグ戦での活躍も期待される。村田ができるのは、体当たりの全力プレーだけである。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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