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早大・小宮山監督がENEOSとのオープン戦で感じた1球への執念

 

早大・小宮山悟監督はENEOS・大久保秀昭監督と7月19日のオープン戦前に談笑。昨秋までは早大と慶大の指揮官として東京六大学を戦った仲である


 天候が安定しない梅雨だ。屋外でのゲームは当然、雨天により中止の可能性がある。

 前日、ENEOS・大久保秀昭監督は早大・小宮山悟監督に連絡していた。

「何が何でも試合を! 多少の雨でもお願いします!」

 早大の練習拠点である安部球場(東京都西東京市)。天気予報は大きく外れ、真夏を思わせる青天の中で、オープン戦は無事に行われた。ENEOSは3度の逆転により、7対4でシーソーゲームを制している。10回は早大の要望により、タイブレーク(無死一、二塁)の練習。再延期となった東京六大学春季リーグ戦(8月10日開幕予定)は特別規則で、9回同点の場合に適用されることになっている。

 ここでも、ENEOSが集中力を発揮。10回表、いきなりけん制悪送球でピンチを広げるが、後続を抑えて無得点に抑えた。その裏、犠打と犠飛で“サヨナラ勝ち”を収めている。

 1球への執念。ENEOSは昨年まで4年連続で都市対抗出場を逃している。名門再建を託されたのが、慶大で任期途中だった大久保監督だ。昨年12月、2014年以来の古巣に復帰。選手たちには常に「危機感」を植え付けてきた。仮に5年連続で出場を逃せば「大問題」に発展しかねないと、警鐘を鳴らしてきた。スローガンである「ドラマティックチェンジ」を実践し、チームに浸透させている。オープン戦とはいえ、ベンチが一体となり、勝利にかける思いは相当な意識レベルだった。昨秋まで神宮でしのぎを削った仲であるからこそ、小宮山監督も劇的な変化にすぐさま反応した。

「何が何でも! を感じた。それが、しぶとさにつながっている。それぐらい必死にならないとダメだ、ということです」

 早大の東京六大学リーグ戦での優勝は2015年秋が最後。つまり、ENEOSと同様、丸4年、不本意なシーズンを過ごしている。社会人から学んだものは大きい。結果以上に、早大にとって忘れられない日となったはずだ。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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