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CAR3219フィールドで躍動する若獅子

西武・高木渉 松井裕樹から技ありの一発。確かに感じる打撃と意識の進化/CAR3219フィールドで躍動する若獅子たちVol.2

 

ファームで6本塁打


西武高木渉(球団提供)


 7月26日まで、ファームで6本塁打と長打力を見せているのは3年目の高木渉だ。2018年に育成選手として入団した高木だが、一昨年のオフ、支配下登録を勝ち取ると、昨年6月の交流戦で初めて一軍に昇格した。プロ初安打こそまだ出ていないが、入団からここまでの活躍を見ると、近い将来、大きな飛躍を遂げそうだと感じる今日このごろだ。

 7月11日のイースタン・楽天戦(森林どり泉)で松井裕樹投手から腕をたたんでコンパクトに放った右翼席への本塁打はファンの間でも話題になった。「(松井投手から打ったというのは)特に意識はなく、普通にうれしいだけ。相手を意識しすぎると、余計な力が入ることもありますから」とあくまでも平常心で打った一発であることを強調した。「いい投手なので、打ちたい気持ちは当然あるけど、その気持ちを出しすぎず“1打席のなかでいいものを出したい”“打てたらいいな”くらい」。決してフルスイングはしていない。インコースをうまくさばいた“技あり”の打撃だった。

 高木は、昨シーズンの自分を「浮き沈みがあった」と振り返る。「打てなかったら“もうダメだ”とすぐ落ち込んでいましたね。ただ、今年は、打てない時期もありますが、そのときに“どうして打てなかったんだろう”とか試合の映像を見ながら“ちょっと次はここを変えてみようかな”と自分に対しての研究心というか、分析する時間が増えてきたと思います」と今年の成長を口にする。

 その中で、打撃フォームでも“変化”が現れた。「良いときと悪いときの差をなくしたい」とこれまでの“スリ足打法”から意図的に右足を上げてタイミングをとるフォームに変えた。「そこから一気に、(感覚が)ガラっと変わった」と手ごたえを感じるが、これはしっかり自らと向き合うことができるようになったからこその進化だった。

 昨年、高木が一軍に昇格したときは、「こんなところにいていいのか」と“場違い”のような感覚を覚えという。ただ、今年はそれではいけない。鈴木将平川越誠司など“同じ釜の飯”を食った同志たちがその舞台で輝いている。「(彼らの活躍は)うれしいけれど、もちろん悔しい気持ちのほうが大きい」。彼らに話が及ぶと、その目つきは鋭くなった。

 ファームには高木をはじめ、今にでも一軍の中に割って入らんと虎視眈々とそのチャンスを狙う若獅子であふれる。メットライフドームでは、有観客試合が始まり、今年からは大型フードエリア「グリーンフォレスト デリ&カフェ」などファンが試合前に楽しめる施設が格段に増えた。ちなみに西武はエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社とグリーンフォレストや、ドーム内外周通路などで、Lions Wi-Fiを使用可能とした。試合前はゆっくり食事を楽しみながら、携帯電話のデータ通信量を気にせずに将来有望なファーム選手を調査するのがコアファンならではの楽しみになるかもしれない。

 今シーズン、ファームの試合は無観客だが、結果とスコアシートは随時、球団公式ホームページの中で更新されている。

コーチたちの高木渉への評価は?


西武・佐藤コーチ


佐藤友亮二軍外野守備走塁コーチ
「この春のキャンプからずっと一生懸命取り組んでいるし、打球の追い方がすごく安定してきたね。打球の前後を間違えるとか、追い方がマズイとかいうことはなくなったから、そのまま距離(守備範囲)を広げていってほしいって感じかな。高木はすごく賢い選手で、根拠がちゃんとないとダメ。『こうだから、こういうふうな守備になっちゃうよ』『こういうときはこうしましょう』と。“なぜなら、こうだから”と説明すれば、理解できるし、自分でも復習している。試合後も振り返りをよくやっているので、成長するスピードは早いね。それが精神的な安定につながっていると思うし、精神的なムラが見えなくなったね。
 本人には、まずはバッティングを磨くように言っている。持っているものは素晴らしい。一軍で通用するのは打撃だから、優先順位は一番。その打撃を生かすため(打席を多くもらうため)には安定して守らないといけない。だから二番目は守備。その中で足を使って守備範囲を広げていく、スチールをする、状況判断のいい走塁ができれば、“じゃあ、1試合任せてみようか”“2試合任せてみようか”ってなるよって話したよ」

西武・嶋コーチ


嶋重宣二軍打撃コーチ
「(去年と比べて)明らかにスイングが違うね。数段、力強くなった。昨年の春から6、7月にかけて、たくさんの失敗をしていたけど、それを何も言わず見守ってきたのは、本人に気が付いて(感じて)ほしかったから。逆にそれが生きたかなと思う。もともとバットコントロールがあって、タイミングの取り方も上手だけど、力任せに引っ張り傾向のある自分勝手なバッティングをしていたんだよね。それがオールスター明けに自分で気が付いて、『こういうふうにやりたいんでこうします!』と(自ら)方向性を導き出せたことは大きいと思う。徐々に彼のバッティングの柔らかさ、持ち味というのが出てきたと思うし、もともと天性の柔らかさを兼ね揃えた選手だから。
 今は非常に頼もしく見えるよ。自覚が見えるし、やる気、意識も感じる。すべてにおいて大人になったなと思う。それプラス、チームを引っ張っていこうという意識も持ってくれている。そういう意味も込めて三番を任せているし、それは春のキャンプから本人に伝えていた。“少々打てなくても変えないよ”とね。まだ数試合だけど、その期待に応えてくれている、頑張ってくれていると感じます」

西武ライオンズ

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週刊ベースボール編集部

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