超一流と呼ばれる選手も年齢による衰えは抗えない部分がある。だが、この選手は違う。38歳のヤクルト・青木宣親は7月30日現在で打率.336、6本塁打、19打点をマーク。昨オフに主砲の
バレンティンが退団。
山田哲人も上半身のコンディション不良で27日に登録抹消された中、チーム野手最年長の青木が打線を牽引している。
3度の首位打者を獲得し、NPB史上唯一の2度のシーズン200安打を達成。昨季終了時点でNPB歴代最高通算打率.326とまさにレジェンドだ。青木のすごさは年を重ねてもパフォーマンスの高さを維持しているところにある。メジャーから日本球界に復帰した2018年は127試合出場で打率.327、10本塁打、67打点をマーク。昨季は134試合出場で打率.297、16本塁打、58打点。脚力は全盛期より落ちているが、天才的なバットコントロールは錆びついていない。
ヤクルトのチームメートたちは「青木さんは練習量がすごいし、集中力もすごい。普段は気さくに話しかけてくるけど、打撃練習で打ち込んでいる時は話しかけられないほど集中している」と口をそろえる。天賦の才だけでなく、積み重ねた努力の質と量が打撃職人の礎になっている。青木と同様に名球会入りしている早大で同期の
鳥谷敬(
ロッテ)、1学年下の
内川聖一(
ソフトバンク)が若手の台頭もありスタメンで出場することが厳しくなっている状況を考えると、そのすごさが際立つ。
過去の最年長首位打者は1979年の大洋・ミヤーン、89年の
巨人・
クロマティ、08年の
楽天・リックの36歳シーズン。青木は39歳シーズンで首位打者に輝き、この記録を塗り替える可能性は十分にある。また、安打数も金字塔が見えてきた。昨季まで日米通算2365安打を積み上げている。2500安打は通過点に過ぎないだろう。
張本勲、
イチローの2人しか過去に達成していない通算3000安打も青木なら不可能ではない数字だ。
昨年末、
高津臣吾監督から「お前じゃないとダメだ」と指名され、球団では08年の
宮本慎也に並ぶ最年長の主将に就任した。「今までの自分の言動や行動を見て、キャプテンに指名してくれたと思っているので、自分らしくやるのが一番大切。周りの選手、スタッフに対していい影響を与えられるようにしたい」と話していたとおり、試合中は誰よりも声を張り上げてチームを鼓舞する。打撃だけでなく、「野球人」として青木の生き様は若手の良きお手本になるだろう。
写真=BBM