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ベースボールゼミナール

技術を上げるために効果的なキャッチボールとは?/元中日・井端弘和に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は内野守備編。回答者は現役時代、7度、ゴールデン・グラブ賞に輝いた、元中日ほかの井端弘和氏だ。

Q.中学生の息子を持つ親です。新型コロナウイルスの影響で部活動が制限され、自宅で息子とキャッチボールをする機会が増えました。よくプロ野球の選手や解説者の方が、「キャッチボールが大事」とお話しされているのを聞きますが、技術を上げるための効果的なキャッチボール(の方法や意識)を教えてください。(大阪府・40歳)


中日時代の井端弘和氏


 キャッチボールは本当に大事な時間で、ほぼ毎日行うこのキャッチボールを何の目的もなしに、つまり、肩慣らし程度に行うか、試合での自分のプレーに生かすために意識して取り組むかでは、とてつもなく大きな差が生まれることになると思います。このコーナーの“内野守備編”に質問を送っていただいていますので、質問の方の息子さんは内野手と考えて話を進めますが、そうだとすれば、意識すべきはステップでしょう。

 まず、子どもたちがキャッチボールをしている様子を観察してみてください。捕って、大きく振りかぶって投げたりはしていませんか? ピッチャーであればそれで間違いではないのですが、内野手がそのように体勢を整えて、大きく振りかぶって投げるようなことは、試合の中では絶対にあり得ません。遠投をするなど、ほかに目的がある場合以外は、内野手は大原則として、捕ったらすぐに投げる。中学生ですから、素早く投げて少なくとも塁間を強く投げられるようにならなければいけませんね。

 このとき、とても重要なのが(右投げなら)ボールに対して右足を出して捕球し、左足をステップして投げていくことです。右(足=捕球)→左(足=ステップ)→スローです。これが捕球のタイミングで、左足でステップを踏んでしまうと、左(捕球)→右→左→スローとしなければならず、これではタイムロスです。

 ゴロ捕球の場合も同じで、右(足=捕球)→左(足=ステップ)→スローが基本中の基本ですから、これが体に刷り込まれるくらいにキャッチボールでステップワークを磨くといいと思います。パッパ、パッパ、パッパ、パッパと正しくステップして、リズムよく行えるとなおいいでしょう。ここで意識して取り組んで、体に染みついたものは、必ず、試合で行きますよ。

 私は野球教室も指導者として参加させてもらうことがあるのですが、いつもキャッチボールを注目して見ています。小学生、中学生はまだ仕方がないにしても、高校生、大学生、プロに入ってくる選手でも、ピッチャーのように言葉は悪いですが、何の考えもなしにキャッチボールをしている選手もいて、もったいないなと思うことがあります。内野手ならば、ワンステップで、素早く捕って返す。捕る、投げるは別の動作ではないことを頭に入れると、キャッチボールも良い練習になります。

●井端弘和(いばた・ひろかず)
1975年5月12日生まれ。神奈川県出身。堀越高から亜大を経て98年ドラフト5位で中日入団。14年に巨人へ移籍し、15年限りで現役引退。内野守備走塁コーチとなり、18年まで指導。侍ジャパンでも同職を務めている。現役生活18年の通算成績は1896試合出場、打率.281、56本塁打、410打点、149盗塁。

『週刊ベースボール』2020年7月27日号(7月15日発売)より

写真=BBM
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