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阪急は競輪があるから人気がなかったのか?/週べ回顧1971年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

ベルトレスユニフォームへの変更はあるのか


西宮での日本シリーズ。この写真だと客の入りは分かりにくい(打者・長池徳二


 今回は『1971年12月6日号』。定価は100円。

 西本幸雄監督の下、パ・リーグで黄金時代を築き上げていた阪急ブレーブスだが、本拠地西宮球場の客入りの悪さが悩みの種だった。
 この年の日本シリーズでも対戦相手の巨人川上哲治監督が西宮球場のスタンドを見上げ、「入りが悪いなあ。なぜこの球場はこうも客足が悪いのか」とつぶやいたという。
 
 もともとパ自体が人気がない。セもしょせん巨人におんぶにだっこではあったが、山田久志福本豊ら若い選手も台頭し、しかも強い。もう少し客が入ってもよさそうなものだった。

 球場の問題があるのでは、という声があった。施設というより競輪の使用だ。競輪ファンが醸し出す殺伐とした雰囲気を阪急沿線の上品なファンが嫌がり、「西宮には、あまり行きたくないな」になっているのでないかというのである。
 しかも競輪開催ですり切れた外野の芝が選手のパフォーマンスを損ない、寂しげに見えるとファンのイメージを悪くしていた。
 ただし、球場経営の赤字を競輪の収入が埋めていたのも事実。やめるにやめられない。

 球団も手をこまねいていたわけではない。というか、かなり積極的だった。
 中心は渓間代表だ。以前、戦時中は海軍の情報部にいたと紹介したが、さらにその前は零戦に乗っていたとか。
 このバイタリティあふれる男が、
「まずは球場に来て見てもらうことでしょう」
 とハッスルしていた。
 メジャーを真似し、選手の名を冠した「加藤デー」「長池デー」をつくり、選手のサインボールやバットを先着何名にプレゼントしたり、野球少年たちのリトルブレーブスには選手と会える場をつくったり、選手を審判として参加させたりしていた。

 また、来日していたオリオールズのユニフォームにも刺激を受け、
「あのユニフォームはなかなかいい。ノーベルトのほうが腰のあたりが締まってかっこいいよ」
 と言っていた。いわゆるベルトレスだが、当時まだ日本での採用はなかった。
 選手からは、
「外国人は足が長いからいいが、日本人は胴が長いから股引の親方みたいになるんじゃないか」
 と反対の声が多かった。

 では、また月曜に。

<次回に続く>

写真=BBM
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