週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

打つだけではダメ。若手のレギュラー争いが好調楽天を支える要因の一つ

 


 楽天では若手たちの打撃向上により、「DHや外野の一角が助っ人」という当たり前になりつつある状況が崩れていきそうだ。打撃が売りの助っ人たちにとって守備力はあまり重要視されていないことが多い。特に今季の楽天の助っ人には守備力に定評がある選手がおらず、ジャバリ・ブラッシュステフェン・ロメロのどちらかが外野かDHを務めていた。

 だが、ロメロはこれまでケガも多く、休ませながら起用することもあり、その際に浅村栄斗がDHに入り、守備・走塁のスペシャリストであるルーキーの小深田大翔が二塁で出場することが増えた。その小深田の打撃が好調なため、ブラッシュとロメロの同時起用が減少。日本人野手の打撃が上向けば外国人枠を投手陣に回せるため、守備力が高い日本人野手の起用が増加するのは当然ともいえる。

 そういった状況の中、8月8日にはブラッシュが首に軽いむち打ちの症状があり来日初となる登録抹消に。同日に一軍に上がってきた渡邊佳明はその日、「七番・右翼」でスタメン出場すると、先制の二塁打などでチームの勝利に貢献。助っ人が抜けたことによる打撃の不安を払しょくした。

 さらに外野ではケガや体調不良に悩まされてきた田中和基が、4日に今季初昇格。5日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)には今季初スタメンで2二塁打を含む全打席出塁と結果を残した。外野は守備・走塁で高い能力を持つ辰己涼介もおり、激戦区だ。渡邊佳も正ポジションは内野だが、勝負強い打撃を生かすべく昨季から外野守備にも挑戦し、チームの穴を埋める働きを見せている。若手たちのレギュラー争いは熾烈を極め、いまだ外野は島内宏明以外レギュラーと呼べる選手はいない。

 打撃がいいというだけではスタメン起用とはなりにくく、高い守備力と走塁技術も求められているこの状況こそが、好調楽天を支えている要因の一つになっているのだろう。二軍もイースタン・リーグで首位争いを繰り広げるなど、若手に限らず一軍昇格を狙う選手はまだまだいる。疲労がたまる夏場は選手の入れ替えも活性化するはず。次にレギュラー陣を脅かすのは誰なのか、注目していきたい。

文=阿部ちはる 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング