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過去10年…巨人のドラフト1位は活躍できているのか?

 

 近年の巨人は、クジ運が悪いためにドラフトで後手に回ることが多く、なかなか思うような選手を指名できていない。そのため、ファンからも「ドラフト下手」と批判を浴びる始末。以前は高橋由伸上原浩治高橋尚成阿部慎之助と、4年連続でチームの柱となる選手をドラフト1位で獲得した時期もあり、当時を知っているファンからすると物足りないと思っても仕方ないだろう。では、近年のドラ1選手は実際にどのような成績を残しているのだろうか? 過去10年間の「巨人のドラ1選手」を振り返ってみる。
※通算成績は2020年8月13日終了時点のもの

ドラ1の活躍は右肩下がりだが……


巨人・菅野智之


 過去10年のドラフト1位指名選手と成績を以下にまとめてみた。
※年度はドラフト年

●2010年 澤村拓一
330試合48勝50敗74セーブ51ホールド
通算防御率2.79

●2011年 松本竜也
一軍公式戦出場なし

●2012年 菅野智之
184試合94勝47敗
通算防御率2.34

●2013年 小林誠司
613試合1544打数337安打、14本塁打、134打点
通算打率.218

●2014年 岡本和真
365試合1509打数373安打、81本塁打、242打点
通算打率.280

●2015年 桜井俊貴
55試合10勝10敗
通算防御率4.73

●2016年 吉川尚輝
147試合470打数122安打、10本塁打、45打点
通算打率.260

●2017年 鍬原拓也
26試合2勝3敗 2ホールド
通算防御率6.04

●2018年 高橋優貴
18試合5勝7敗
通算防御率3.19

●2019年 堀田賢慎
一軍公式戦出場なし

 過去10年のドラ1選手のうち、最も活躍しているのは菅野智之だ。1年目は新人王こそ逃したが13勝を挙げ、翌年は最優秀防御率のタイトルを獲得。2017年、2018年は2年連続で沢村賞にも選出された。今シーズンも開幕7連勝と圧巻の投球を続けており、名実ともに日本最強のピッチャーだといえる。

 2010年の澤村も、現在は不振に陥っているが、先発、中継ぎ、抑えと役割を問わずチームに貢献してきた選手。2013年のドラフト1位、小林誠司も巨人に欠かせない選手に成長した。特に肩の強さはリーグ屈指で、盗塁阻止率は2016年から4年連続でリーグトップを記録。その強肩で何度もチームのピンチを救ってきた。

巨人・岡本和真


 2014年のドラフトでは岡本和真をドラフト1位で獲得。3年目まではなかなか結果を残すことができなかったが、4年目の2018年は全試合に出場し、プロ最年少での「3割・30本塁打・100打点」を記録した。翌2019年は一時不調に陥るも、最終的に31本塁打を放っている。今季は開幕から不動の四番に座り、リーグトップの16本塁打と活躍中だ。

 2015年のドラフト1位・桜井俊貴は昨季自身最多の8勝を挙げたが、今季は不振で二軍で調整中。先発の駒が不足しているだけに、復活を期待したいところだ。

 2016年の吉川尚輝は、2018年シーズンにレギュラーポジションを勝ち取ったものの、骨折により戦線離脱。2019年も腰痛の影響で満足にプレーできなかった。復活を期した今シーズンはレギュラーで起用されているが、打撃がいまひとつなのが気になる。

 2017年の鍬原拓也は7月4日の中日戦(東京ドーム)で2年ぶりの一軍勝利を挙げたが、ドラ1選手としてはやや物足りない成績だ。ただ、まだ24歳と若く伸びしろは十分。今後の成長に期待だ。

 2018年の高橋優貴は1年目から先発ローテ入りし、5勝7敗とルーキーとしてはまずまずの結果を残した。今季はヒジに痛みが出たことで調整が続いたが、徐々に調子を上げており一軍復帰も近い。巨人にとって8年ぶりの「高卒ドラ1投手」である堀田賢慎は、残念ながら4月に右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、今季の復帰は絶望となっている。

 さて、こうして巨人の過去10年でのドラ1を振り返ってみると、澤村、菅野、小林、岡本は期待どおりの結果を残している。しかし、岡本以降の選手は現状では目立った活躍ができていない。特に吉川、鍬原など「競合に敗れた末に指名した選手」は軒並みファンを納得させられるほどのプレーが見せられていない。そのため、「巨人はドラフト下手」という印象が強まっているのではないだろうか。

 2度抽選を外した後の指名となると選定が難しくなるのは当然だ。しかし、球界の盟主たるもの、そうした状況でも活躍が見込める選手をしっかりと指名してもらいたいのがファンの心情だろう。

 ここ数年はクジ運の悪さから厳しいドラフトを強いられている巨人。まだ先の話ではあるが、今年のドラフトは果たしてどうなるのか、巨人首脳陣の動きに注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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