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豊島わかなの「都市対抗を夢見る男」

Honda・千野啓二郎 プロ入りが目標の2015年夏甲子園Vメンバー二塁手/豊島わかなの「都市対抗を夢見る男」

 


 現在、中日ドラゴンズで活躍する小笠原慎之介の剛腕が話題となった、2015年夏の甲子園。小笠原とともに、東海大相模高のメンバーとして優勝を経験した選手たちが、この春、各々の目標を胸に抱き社会人野球界へと進んだ。

 埼玉県狭山市にある、Honda硬式野球部の千野啓二郎もその一人だ。東海大相模高時代は、俊足好打の「一番・二塁手」として活躍し、東海大時代は4年春秋ベストナイン、秋季リーグでは首位打者を獲得するなど、成長を積み重ねてきた。

 コロナ禍で、入社早々練習がままならない日々が続いていたが、「時間の使い方次第では、いい形になるだろうと信じていました。今まで当たり前のように野球をやっていた分、不安はありましたが、社会人野球に進んだ同級生が多いので、近況報告をしあってモチベーションを上げています。東海大相模高の同級生たちとの戦いも今から楽しみです」という。

東海大時代の千野(本人提供)


「試合が終わったときに、人一倍ユニフォームが汚れていないと嫌なんです。ユニフォームが白いままだと、何もしていない気分になってしまう。だから社会人でも、ケガをしない程度に泥臭いプレーをしていきたいなと思います」と笑顔を見せる千野だが、東海大入学後、野球に身が入らない時期が長くあったそうだ。そんなときに、安藤強監督にかけられた言葉で、野球への意識が変わったという。

「『カッコつけて、見た目ばかり気にしてプレーをしている』と指摘され、チームが勝つために自分がやれることを精いっぱいやることが大事だと考え方が変わりました。それまでは自分が試合に出ることが中心で、周りの目が気になっていたんです。やるべきことをしっかりやっていれば、評価は必ずついてくるということに気づき、大学3年の後半からは安定して試合に出られるようになりました」

 ガムシャラに一生懸命なところが、本来の自分の姿だと話す千野は、新たなステージでも飾らないプレースタイルを大切にしながらやっていきたいと意気込んだ。

Hondaでレベルアップを果たし、プロの世界を狙う


 日本一を狙える強いチームでのプレーを望み、Hondaに入社した千野にとって、高い意識を持っている選手がそろった今の環境は、日々刺激になっているそうだ。

「都市対抗を見に行ったとき、全員がいい顔をしてプレーしていたのが印象的で、入社を決めました。今は、同じポジションの篠塚(宜政)さんの存在が大きいです。最年長にもかかわらず、率先してグラウンド整備をするなど、おごらない姿勢は、プレーの中にも出てくると思うので大事にしていきたいです。プロ入りを目標に入社したので、まずはチームから必要とされる存在になりたいです」

 日本一を経験し、その後自身のプレースタイルに悩んだ時期もあったが、あるべき姿を確立した千野は、さらに上のステージでも活躍し続けるに違いない。

千野啓二郎(ちの・けいじろう)
1997年7月17日生まれ。埼玉県出身。178センチ80キロ。右投左打。2015年夏の甲子園で「一番・二塁手」として出場し、優勝を経験。走攻守揃ったバランス型好打者。この春からは社会人野球の名門・Hondaにてプレーをしている。

豊島わかな(とよしま・わかな)
1986年12月14日生まれ。愛知県出身。2017年から日本野球連盟公式サポーターを務め、社会人野球の魅力を伝えている。

文=豊島わかな 写真提供=Honda
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