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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

より大事な2つの打席。高打率を維持するオリックス・吉田正尚の意識

 

ベンチから準備を欠かさぬ吉田正尚。明確な意識は高い打率に反映されていく


 コンスタントに安打を重ねている。8月26日の試合終了時点で、58試合を消化して無安打の試合は14。オリックス・吉田正尚がパ・リーグトップの打率.374を残し、現在14試合連続安打をマーク中だ。

 プロ5年目を迎える吉田正は、通算打率も3割超。7月14日には、435試合目で通算500安打にも到達した。豪快なスイングが魅力な一方で「三振はイヤなんですよね」と、2ストライクに追い込まれれば逆方向へ軽打するなど、“巧さ”も併せ持つ。その証が高打率だ。

 昨季も首位打者争いを演じ、最終的にリーグ2位の.322をマーク。シーズン後に、そんな“打率”に対する考え方を聞けば、技術よりも気持ちが大事という答えが返ってきた。

「打てないときほど、結果を求めがちになってしまうんですが、そう思わないこと。大事なのは『打ちたい』と思うことではなく、『なぜ打てなかったのか』を考えることなんです。そうしていくことで、状況に応じた幅のある打撃ができるようになる。結果、率も上がっていくとも思うんです」

 振り返れば、昨季の開幕直後は打率が1割にも満たず、不振にあえいでいた。原因は、自らのスイングのイメージと結果が一致しなかったこと。ボールをとらえたと思っても、ファウルになることも多かったという。ただ、苦しんだ中でも崩さなかったのは「打ちたい気持ちを抑えて、四球を選べたこと」だ。すると「ボールの見え方がよくなっていった」ことで、復調した。

 当然、技術なしにして安打を放ち続けることはできない。それでも「野球はメンタルが左右するスポーツでもある」と話す吉田正は、意識する2つの打席があるという。それが、『第1打席』と『最終打席』だ。

「もちろん全打席、集中していますが、やっぱり1打席目にヒットが出ると、心に余裕が生まれる。最終打席は、その試合に加えて翌日のためにも。最後まで集中を切らさず、プレーすることで、何か感じることがあるかもしれない。それが翌日にヒットを呼ぶ。プロは勝敗に関わらず、次の日も試合がありますから」

 今季の『第1打席』は、46打数15安打で打率.326。『最終打席』は47打数19安打で打率.404と、いずれもハイアベレージ。培った技術を発揮するため、確かな意識は、ここでも数字に表れている。

 シーズンは間もなく折り返し。ハイアベレージを維持する吉田正は最終的にどんな数字を残すのか。史上初の4割到達にも期待は高まる。

写真=BBM
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