ヤクルトの石川は現役では一番、本塁打を打たれている
果たして、日本球界で最も本塁打を打たれた投手は誰なのか。通算被本塁打ランキングを見ると錚々たる大投手の名前が並ぶ。当たり前のことだが、被本塁打が多いということは、それだけ多くのイニングを投げた証し。エースとしてチームから信頼されていたからであり、胸を張っていい記録だ。
【通算被本塁打トップ10】
※球団は最終所属。( )内は投球回、被本塁打率 1位
鈴木啓示(近鉄)560本(4600回1/3、1.10)
2位
山田久志(阪急)490本(3865回、1.14)
3位
東尾修(
西武)412本(4086回、0.91)
4位
北別府学(
広島)380本(3113回、1.10)
5位
金田正一(
巨人)379本(5526回2/3、0.62)
6位
平松政次(大洋)374本(3360回2/3、1.00)
7位
米田哲也(近鉄)370本(5130回、0.65)
8位
小山正明(大洋)365本(4899回、0.67)
9位
工藤公康(西武)362本(3336回2/3、0.98)
10位
柳田豊(近鉄)359本(2357回2/3、1.37)
上位3人は鈴木、山田、東尾と昭和50年代のパ・リーグを代表するエースたちが独占した。通算400本以上喫しているのも、この3人だけだ。彼らに共通するのは、75年にパ・リーグだけで採用された指名打者制当初の「打高投低」時代の主力として、現代と違って狭い球場を舞台に投げていたこと。近鉄は日生と藤井寺、阪急は西宮、ライオンズは平和台から西武球場(現メットライフドーム)を本拠地にしていたのだから、被本塁打が増えるのも必然である。
セ・リーグの通算“被本塁打王”は広島の北別府だ
セ・リーグ記録は北別府の380本で、金田の379本を1本だけ上回った。やはり特定の大打者しか長打がなかったとされる金田の全盛期よりも、北別府が登場した80年代のほうが下位打線の打者を含めたリーグ全体の本塁打が多かったゆえだろう。
顔ぶれを見ると球威やスピードを武器に三振を奪うタイプよりも、「打たせて取る」タイプのほうが被本塁打の割合が高い傾向にある。やはり失投が打ちごろのボールになるのだろうか。
ちなみに11位は
三浦大輔(
DeNA)の358本、12位は
山本昌(
中日)の341本、そして13位に現役の
石川雅規(ヤクルト)の名前が出てくる。石川は329本。40歳の左腕は今後、どこまで数字を積み上げていくか。
写真=BBM