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菅野智之が挑む、レジェンドだらけの巨人のシーズン投手記録は?

 


 今シーズン、圧巻の活躍を見せているのが巨人・菅野智之だ。昨シーズンは腰痛の影響で後半失速したが、今年は開幕から9連勝を達成。10試合に登板して防御率1.61と安定感も抜群。このまま好調を維持すれば、巨人のレジェンドが残したシーズン投手記録を更新する可能性がある。今回は、菅野が挑む「巨人のシーズン投手記録」をピックアップしてみた。

開幕連勝とシーズン無敗投手は?



 現在開幕9連勝中の菅野だが、この数字は歴代2位。過去最多連勝記録はヴィクトル・スタルヒンが1938年春季に達成した開幕11連勝で、菅野はこの記録に並ぶまで残り2勝のところまで迫っている。ただ、今年の菅野であれば、スタルヒンに並ぶ、または追い抜く可能性も十分にある。

 ここまで連勝が続くと、菅野の「シーズン無敗」も期待したいところだ。規定投球回到達者で1リーグ時代を含め、NPBでは4人のシーズン無敗達成者が出ているが、実は巨人からは出ていない。巨人の投手でシーズン勝率が最も高かったのは1938年秋季のスタルヒンで、勝率.905だった。また、2リーグ制以降では、1966年に堀内恒夫が残した.889が最高記録だ。

 現在、菅野の防御率は1.61と非常に好調。では、巨人の偉大な先人が残したシーズン最高防御率はというと、1943年に藤本英雄が記録した0.73が歴代トップ。これは巨人だけでなくNPB記録で、この年の藤本は432回2/3を投げて自責点は35ととんでもない成績を残した。2リーグとなった1950年以降では、1955年に別所毅彦が記録した1.33がトップ。

今年の菅野でもまず超えられない恐ろしい記録


巨人・藤本英雄


 先人が残した記録には、藤本の「防御率」のように、更新が難しい記録も少なくない。そうした更新がほぼ無理そうな先発記録として、ほかに「完投」「完封」「勝利」が挙げられる。完投は1940年に須田博(スタルヒンの日本名、戦時中は改名)が記録した41。完封は1943年の藤本英雄の19。勝利数は1939年にスタルヒンが残した42勝が最多となっている。

 また、スタルヒンが1939年に記録した458回1/3の投球回、同年の282奪三振も、超えるのが難しい偉大な記録だ。先発投手の疲労を重視する現在では、たとえ菅野が今の調子を維持したまま例年どおりの143試合を戦っても、更新は無理だろう。

菅野は桑田も超えるか


巨人・桑田真澄


 巨人に在籍した選手の「1試合最多奪三振記録」は、1994年8月13日の阪神戦で桑田真澄が記録した「16奪三振」が最多となっている。これはセ・リーグ最多タイ記録で、中日時代の野口茂樹など8人が並んでいる。菅野の1試合奪三振は13が最多。今季の菅野なら、自己記録更新だけでなく、偉大なレジェンドの一人である桑田を超える可能性もある。

 ちなみに、「シーズンチーム防御率」は1943年の1.38が過去最高。2リーグ制以降は1955年の1.75が最高記録となっている。チーム防御率が2点台なら非常に優秀だとされる現在、1点台に突入することさえも今は無理だろう。

 巨人のレジェンドが残した、シーズン投手記録をピックアップしてみた。今季、キャリアハイといえるほどの活躍を見せている菅野だが、果たしてスタルヒンの記録を超えることができるのか。また、巨人初の「シーズン無敗投手」となれるのか。今後のピッチングに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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