シーズンも折り返しを迎えて後半戦に突入している。パ・リーグは昨季まで日本シリーズ3連覇のソフトバンクが首位を走っているが、プロ通算2171安打を放ち、球団の象徴的存在である内川聖一の一軍出場がない。他球団の関係者は「大きな故障をしているわけでなく、二軍の試合には出ている。あれだけの選手が一軍で戦力になっていないのはもったいない。実際にトレードの調査に乗り出したセリーグの球団があると聞きました。チームを長年支えた功労者なのでソフトバンクが簡単に出すとは思わないですが……」と漏らす。
2008年に横浜(現
DeNA)で右打者最高打率.378で首位打者を獲得。ソフトバンクにFA移籍初年度の11年にも史上2人目となるセパ両リーグで首位打者に輝いた内川だが、近年は度重なる故障の影響もあり不本意なシーズンが続いていた。打率3割をマークしたのは4年前の16年が最後になる。昨季は137試合出場で打率.256、12本塁打、41打点。一塁の守備ではNPB史上最遅記録となる19年目でゴールデン・グラブ賞を初受賞したが、納得のいく結果ではなかった。プロ20年目の今季はキャンプ中に発症した左膝関節炎の影響でオープン戦には出場せず。6月の練習試合再開後も精彩を欠き、横浜時代の03年以来17年ぶりに開幕一軍から外れた。
ファームでは9月2日現在で打率.409と格の違いを見せているが、一軍からなかなかお呼びの声がかからない。プロ6年目の
栗原陵矢が台頭して一軍のレギュラーに定着。打撃不振の
バレンティン、左ヒザの違和感で26日に登録抹消された
デスパイネもファーム調整で早期の一軍復帰を目指している。内川が一軍に昇格する時期はいつになるだろうか。
別の球団の編成担当者は「ファームで打撃を見たけど良いときの感覚で打っている。ソフトバンクは戦力が充実していますが、あれほどの好打者なのでこれから必要になる時期が必ずくると思う。もし使わないならウチに欲しいですよ。一塁だけでなく代打の切り札としても使える。野球に対する取り組み方も若手のお手本になるのでチームに与えるプラスアルファは大きい」と高く評価する。
内川と同学年の「82年世代」は
巨人・
亀井善行、
中島宏之、
西武の
内海哲也、
楽天・
藤田一也がいる。先月4日に38歳の誕生日を迎えた内川ももう一花咲かせてほしいと、ファンは待ち望んでいる。
写真=BBM