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【MLB】秋山、悔しさが一番大きい。このまま終わりたくない

 

速く動くボールで、対戦回数が少ない投手というメジャー特有の状況に苦心している秋山。チームも低迷しているだけに奮起したいところだが……



 レッズの秋山翔吾外野手がメジャーへのアジャストに悪戦苦闘している。現地時間8月25日の時点で打率.214、出塁率.295、ヒット15本、0本塁打、1盗塁、4得点だ。

 秋山は8月21日の試合前にズーム会見に応じ、開幕から1カ月が経ったがと聞かれ、「悔しさが一番。今の打率であったり、ヒット数であったりというのは悔しさがある。このままでは終わりたくない」と話した。

 分かっていたことではあるが、MLBにはたくさんの投手がおり、平均球速が速い。ボールもよく動く。タイミングも違う。当てるのが得意な秋山が78打席で18個の三振を喫している。追い込まれ、ボール球を振らされてしまう。

「ネクストだったり、試合の前の段階で、タイミングを合わせておく重要性は20試合が終わった段階ですごく感じました。三振の数も不本意なところがあった。どこに目付をして、どの球を振るとか、どれを振らないとか、整理をしてその上でいかないと」。途中から六番で起用されるケースが増えたが、これは必ずしも悪いことばかりではなかったようだ。

「前の5人の中に左打者が3人入っていることもあって、前の打者との流れとか、どのボールがカウントを取れているかとか、振るボールの整理が一番打者よりもつきやすいところにいる。だから(早いカウントから)振りにいけている」と言う。

 とはいえ、本人のみならず、チームも秋山に最も期待するのは一番打者で高い出塁率を残し、チームをけん引することだ。現状のレッズ打線はまったく機能していない。チーム打率.203はMLB最下位の30位、ホームランは42本の9位で、ホームランでしか点が取れない。得点は110点で27位である。

 まさに秋山のような選手が足りないのだが、レッズは彼を3年2100万ドルの大型契約で獲得しながら、左投手のときは先発から外すという使い方をしている。秋山に早くアジャストしてもらうためにも、右投手でも左投手でも関係なく使い続けるべきではなかったか。

 長くメジャーの野球を取材している立場で言えば、秋山のアプローチは興味深い。現在、MLBでもてはやされる打球角度(メジャー平均11.9度)やバレル率(メジャー平均は6.3パーセント)を追い求めるのではなく、コンタクトヒッターとして自分の信じるアプローチを続ける。ちなみに打球角度は3.4度、バレル率は0パーセントだ。そして今行うべきアジャストについて、こう説明していた。

「アウトになるにしても、アウトの種類が増えてくるともっと良いなと思います。種類が増えてくればシフトがばらけてくる。ピッチャー返しにしても、野手が正面にいて、データどおりに打たされてしまっている。もうちょっと打球をどこに落とすとか、こういう打球を打つとか、イメージと結果が結びついてくるようなものにしたい。形云々より、結果がすべてなので。最終的にはどんな当たりでもヒットになることを望んで、これからも試行錯誤して終わりまでやると思う」と説明した。

 レッズの先発投手陣はリーグ屈指の顔ぶれを誇る。しかしながらブルペンと打線が足を引っ張っているのが現状だ。秋山の成功がチームの成功に直結するのである。


文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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