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週べ60周年記念

球界マネー事情/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

ヤクルト流契約更改術


71年の首位打者、MVPになった巨人・長嶋



 今回は『1972年1月31日号』。定価は90円。

 年俸特集があった。
 1971年オフのマネー闘争は折からのドルショックで各球団の財布の紐がしっかり締まり、越年の保留者が続出していたという。
 7連覇の巨人もなんと12選手が越年。これは前年までの投打成績による査定に加え、守りや走塁も重視したことが混乱の下となった。
 結果的に出場試合が少ない投手や代打、一軍半選手が軒並み厳しい評価になったという。
 それでもONは別格。長嶋茂雄の4924万円、王貞治の4260万円は他球団にくらべ抜きん出ていた。
 一応、1000万台がスター選手の相場のようだが、誰もいないのが、広島と西鉄。山本一義の720万が最高だった広島、高橋明の550万が最高だった西鉄。
 球団格差はかなり大きく、ドラフトで指名した新人に「プロ野球は1つの企業だから、どこに入っても同じ」とはとても言えなかった時代だ。

 契約更改のスタイルもいろいろあり、2日間で一気にやってしまうのがヤクルトだ。早期決着の理由は、いわゆるファミリー手法。
 前年12月6日、交渉初日には松園オーナーが選手を集め、こう演説したという。
「ある一人の選手が好成績を挙げたとすると、その陰には縁の下の力持ちとなって、その選手を助けた者が必ずいるはずだ。とすると一人の選手だけを上げて、その陰の選手に何も報いていないのはおかしい。だから今年は高給を取るスターのアップ率を80パーセントに抑え、残る20パーセントを縁の下の選手たちに回す。ファームの選手は一律20パーセントアップだ」
 総額は変えず、できるだけ平等ということだ。いい話にも聞こえるが、選手は当然、腰砕けになる。年俸が低い選手の分も、お前はほしいのか、になってしまうからだ。
 一人、大矢明彦だけが、
「俺たちはプロだ。共済組合員じゃないんだし、ダウンするときは容赦なくやってもらっていいが、いいときは100パーセントアップしてもらわなきゃ」
 と主張したがかなわず、240万円が350万円になっただけだった。

 17歳の南沙織と巨人・関本四十四の対談もあったが、南沙織の顔の小ささに驚いた(関本が大きいのか?)。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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