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待望する甲子園“神奈川決勝”――鎌倉学園が関東大会進出を果たせた要因は?

 

不変の目標は「甲子園で校歌を歌う」


今秋の神奈川県大会準優勝校・鎌倉学園高は背番号10を着ける増島(写真)から、エースの平本への継投が勝ちパターンとして定着する


 鎌倉学園高野球部には、先輩から後輩へつながれる不変の目標がある。「甲子園で校歌を歌う」。つまり、出場するだけではなく、全国舞台で勝つための取り組みを進めている。

 春、夏の甲子園大会では、出場校に「スピード」が求められる。攻守交代だけではない。すべての行動を、迅速に行わなければならない。2013年秋から母校を率いる竹内智一監督の下、鎌倉学園高では、この「甲子園基準」に気後れしないための、指導が徹底。つまり、すべてにおいてキビキビしているのだ。

 9月27日。東海大相模高との秋季県大会決勝で敗れ(2対8)、準優勝で大会を終えた。前日、桐蔭学園高との準決勝を突破し、すでに関東大会(10月24日開幕、千葉開催)の切符を手にしており「神奈川2位」で出場することになる。

 今秋の快進撃の要因はいくつかあるが、試合を作る上での大前提として、安定感ある投手力がまず挙げられる。背番号10の増島佳祐が先発し、エース番号を着ける平本龍太郎が右翼の守備から救援するのが必勝パターン。増島は「後ろに控えているので、初回から思い切りいける」と、平本に全幅の信頼を置く。

 最速137キロのストレートには力があり、変化球もカーブ、スライダー、チェンジアップと制球が良く、低めに集める。東海大相模高との決勝では3回3失点で降板したが「ボール自体は悪くなかったと思っています。要所では抑えられ、最少失点で切り抜けられた」と、全国レベルの強豪校のスイングを肌で感じられたのは、収穫になったという。

 プレッシャーのかかる大舞台で冷静に投げられたのも、中学時代の経験が大きい。港南台第一中時代は「横浜クラブ」に在籍。全日本少年軟式野球大会(横浜スタジアム)で8強進出を果たした。増島は「勉強も野球も一生懸命やりたい」と鎌倉学園高を志望。同クラブでチームメートだった宮尾一冴(現主将、遊撃手)、角谷健士郎(現副主将、三塁手)は別の学校との併願の末、鎌倉学園高に進学した。全国大会の雰囲気を知る3人を軸として、チームをけん引してきた背景がある。

 さて、関東大会は来春のセンバツ甲子園の選出における、貴重な資料の場となる。主将・宮尾は「優勝を目指す」と語り、増島は「もう一度、(東海大)相模と対戦して、今度は勝ちたいです」と、“神奈川決勝”を待望した。

 かつて鎌倉学園高は1962年、69年と、いずれもセンバツ甲子園の土を踏んだ実績がある。見据えるターゲットは「52年ぶりの春」しかない。そして甲子園で、全力で校歌を歌う。関東大会開幕までの約1カ月、限られた時間内で最高の準備をしていく。

文=岡本朋祐 写真=大賀章好
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