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中日ドラゴンズの自主トレ改革?/週べ回顧1972年編

 

 一昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

阪神ファン・山藤章二は村山監督が好きじゃなかった?


選手兼任監督だった村山実


 今回は『1972年2月7日号』。定価は90円。

 当時、自主トレは名ばかり。チーム全員で集まった、なかば強制の合同自主トレが主流だった。
 悪いことばかりではない。球場施設を使え、トレーニング相手もいる合同自主トレのほうが楽だ。
 全体練習に参加しないのは、ベテランや主力の一部。ここまで長嶋茂雄王貞治の山籠もり、海籠り(?)自主トレを書いた。ほかにも巨人堀内恒夫が1週間、故郷の山梨で身延山の寺にこもり、心身を鍛え上げたという。

 この状況を変えたのが中日。1年前から合同自主トレを廃止した。ただ、どうしても不摂生となった選手が多かったらしく、キャンプインしてから、かなりつらかった。
 その中で前年から始まっていたのが、塚田直和トレーニングコーチによる「塚田教室」だ。
 瑞穂総合グラウンドで参加費600円を徴収し、始めたもの。600円は一般市民と同じ使用料金で、球団の援助はない。中川代表は、
「選手が自発的に集まってやっているだけ。これが本当の自主トレですよ」
 と話していた。

 前年は10人に満たぬ少人数でやっていたというが、この年は、いつの間にかほぼ全員が参加していた。
 内容的には、朝10時から始め、遅刻、早退、欠席はお構いなし。基礎トレーニング1時間半が全体練習で、あとは施設内の器具を使って1時間ほど個々でやって解散となる。
 
 熱狂的阪神ファン、イラストレーターの山藤章二(東京生まれ)と田淵幸一の対談もあった。
 自身も認めるように、やや斜めから見る個性派ファンだった山藤だが、以下の言葉にはさすがの田淵も絶句。答えが「……」の表記は週べ初かもしれない。

「僕は村山(実)監督の個性みたいなものは、はっきり申し上げるとタイプとしてはあまり好きじゃないんです。阪神ファン共通だと思うけど、何となく屈折したものが好きなんですよ。単純明快で強いものがよいというんだったら巨人を応援していれば一番楽なわけです。
 何となく一癖あるチームでいぶし銀のような、といった選手にひかれますので、村山監督自身が本当はどうなのか分からないが、演出かもしれないが、少なくともグラウンド上でのはでやかさは、僕個人では好きじゃない。村山監督には失礼だけれども、器がちょっと違うのではないか」

 どうも吉田義男派だったらしい。
 ただ、翌年にこの企画があればまた違ったことを言ったかもしれない。村山にとって試練の1年が始まる……。

 広島と言えば、もみあげだが、流行ったのは、このころらしい。オリオールズの影響で、アメリカキャンプに向け、外木場、安仁屋らがやり始めたとのことだ。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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